小説 大航海時代オンライン サルベージャー
大航海時代オンライン能登鯖で遊んでるコーキです。 これまでの内容はこちらを参照! http://ameblo.jp/tokusya2ka/ よろしくです<(_ _)>
第24話 地図の完成
「あっちぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
俺は人目も気にせず叫んでしまった。
もっとも、ここはブルーアドベンチャーの中。
気にする人目は一切ないのだが…。
「うるさ〜〜〜〜いっ!!」
この叫び声と共に俺の頬のあたりに包丁が横切る。
「ただでさえ、暑くて、ムシムシしてて、イライラするんだから!
少しは静かになさ〜〜〜〜いっ!!」
俺はひよこさんに包丁を投げられた上で説教をされる。
「まあまあ、二人とも。明日はマニラに入港っすから。少しは
おちついてっすよ」
こう言ってヤクモがなだめるのだが、イライラが頂点に達してる
俺たちには、むしろ火に油。
「うるさいのは…おまえらじゃあ!!!」
そう言って喧嘩(乱闘)が始まる。
ワンヌガイを出航してから、もう何度目だろうか?
とにかくアジアって所は湿気が高いうえに、暑い。
この環境が俺たちから落ち着きというもの奪っている。
こんな時は海賊でも現れりゃ、少しはストレスも発散できるんだが、
Sakurakoさんが、見事に海賊に見つからぬように航路を選んでる。
おそらくは明日にでもマニラに到着するだろう。
…つまり、このイライラする環境はまだまだ続くってことか、はぁ〜。
そして、俺たちは無事(?)にマニラに到着する。
しかし、船から降りてもやはり暑い。しかも、ジメジメ、ベタベタする。
まあいい。こんな時は酒場で一杯ひっかけるに限る。
ひよこさんを始め、女性陣はすべて交易所や道具屋など街中へ
買い物に出かけていった。
そこで、ヤクモと男同士ゆっくり酒を飲みに行く。
Sakurakoさんからは、マニラを過ぎたら南アフリカ方面に直行と
聞いているので、準備にやはり数日はかかるみたいだ。
ま、初日は観光ってことで。船員達にもずいぶん無理をさせてきたからな。
ここらで、ゆっくり休ませてあげたい。
「かんぱ〜〜〜〜い!」
ヤクモと二人でグラスを合わせる。
ん、このライスウオッカっていうのか?意外と飲みやすい、いくらでも入るぞ。
食事はちと、舌にあわないところもあるが、まあ食えることは食える。
酒が少し入ったところでヤクモが口を開く。
「コーキ、最近隠し事してないっすか?」
さすが、相棒。鋭いな。
「ん?いや、別に何もないさ。ただ、俺たちの行き先はひよこさんの地図しだい
だからな。このままSakurakoさんといつまでも同行というわけには…」
「ふーん、それが心配そうな顔の理由ってわけっすか?」
「まあ、そんなとこだ」
俺はヤクモの顔を覗き込むが、完全に納得していないな、こりゃ。
「コーキ君、いる?」
俺たちの会話を割って入るようにSakurakoさんがやってきた。
「大変なの!私たち早急にセビリアに戻る事になって。レースも中断するんだけど
コーキ君と同行も難しいかもしれないのよ」
Sakurakoさんが申し訳なさそうに息を切らしながら話してくれた。
「俺たちは大丈夫ですが、何があったんですか?」
「うん、アイシュキッスのことでちょっと…ね。でも、本当に大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫ですよ。こう見えても修羅場はくぐってますから」
「…そうじゃなくて…。コーキ君、あたしたちに言えないような何かを隠してる、
そんな気がしたから…。お願いだからカリブのときのようなことは…」
ちっ、女のカンってやつは、どうしてこんなにも鋭い。
「…Sakurakoさん。大丈夫、もうカリブのときのようなヘマは…。みんなの敵に
なるような事はしませんよ。安心してください」
Sakurakoさんが俺の顔を覗き込む。その心配そうな表情が…色っぽくて、
妙にドキドキしてしまう。
「コーキ君。うそはイヤよ。何をするのかわからないし、たぶん、止められないん
だろうけど。でも、無茶はしないって約束して…」
そうか、Sakurakoさんは、まだ…カリブで俺と闘った時のことを…。
俺は申し訳ない気持ちで胸がつまりそうになって、精一杯明るい声を絞り出す。
「本当に、…本当に大丈夫ですから。…信じてください」
「…わかったわ。じゃあ、セビリアに帰ってきたら、真っ先に顔を見せに来て」
「…約束しますよ」
俺のその言葉にようやく安心したのか、やっと笑顔を見せてくれる。
「…待ってるからね。じゃあ、今から準備に戻るから…」
「はい。必ず会いに行きますので、先にセビリアで待っててください。
旅の無事を祈ってます」
そして、Sakurakoさんはもう一度笑顔を見せてから港へと向っていった。
残された俺に待っていたのは…
「コーキ!本当に隠し事はないんですか?」
ヤクモの追求だった。
こいつはSakurakoさんのカンのよさを昔間近で見てるからなぁ。
「しつこいな!ないって言ったらないんだよ!!」
俺はキレぎみにヤクモに答える。ヤクモにゃ悪いが今はバラすわけにはいかない。
そいて、ヤクモがさらに追い討ちをかけようとした時、
「コ〜〜〜〜〜〜〜キィィィ!!どこにいるの?もう、あのボケ船長は!!!」
やたらと興奮したひよこさんが、酒場に飛び込んでくる。
俺は顔を引きつらせながら、
「すまんねぇ、ボケ船長はここにいるぞ!」
「たくっ!酒なんて飲んでる場合じゃないわよ!」
あいかわらず興奮しているひよこさんをなだめながら話を聞いてみると…
「…完成したわ」
「へっ?何が?」
「地図よ」
俺はその一言に身体が固まった。
「地図よ、地図!ついに、ついに地図が完成したのよ!」
地図を俺に見せながら踊ってはしゃぐひよこさん。
「まさか、交易所のオヤジが最後の1枚をくれるなんて、夢にも思わなかったわ!」
くるくる回りながら喜びを表現するひよこさん。
そうか、ついに、ついにこの時がきたのか。
俺はこれから始まる真の試練に身体が凍るような寒さを感じていた。
つづく
俺は人目も気にせず叫んでしまった。
もっとも、ここはブルーアドベンチャーの中。
気にする人目は一切ないのだが…。
「うるさ〜〜〜〜いっ!!」
この叫び声と共に俺の頬のあたりに包丁が横切る。
「ただでさえ、暑くて、ムシムシしてて、イライラするんだから!
少しは静かになさ〜〜〜〜いっ!!」
俺はひよこさんに包丁を投げられた上で説教をされる。
「まあまあ、二人とも。明日はマニラに入港っすから。少しは
おちついてっすよ」
こう言ってヤクモがなだめるのだが、イライラが頂点に達してる
俺たちには、むしろ火に油。
「うるさいのは…おまえらじゃあ!!!」
そう言って喧嘩(乱闘)が始まる。
ワンヌガイを出航してから、もう何度目だろうか?
とにかくアジアって所は湿気が高いうえに、暑い。
この環境が俺たちから落ち着きというもの奪っている。
こんな時は海賊でも現れりゃ、少しはストレスも発散できるんだが、
Sakurakoさんが、見事に海賊に見つからぬように航路を選んでる。
おそらくは明日にでもマニラに到着するだろう。
…つまり、このイライラする環境はまだまだ続くってことか、はぁ〜。
そして、俺たちは無事(?)にマニラに到着する。
しかし、船から降りてもやはり暑い。しかも、ジメジメ、ベタベタする。
まあいい。こんな時は酒場で一杯ひっかけるに限る。
ひよこさんを始め、女性陣はすべて交易所や道具屋など街中へ
買い物に出かけていった。
そこで、ヤクモと男同士ゆっくり酒を飲みに行く。
Sakurakoさんからは、マニラを過ぎたら南アフリカ方面に直行と
聞いているので、準備にやはり数日はかかるみたいだ。
ま、初日は観光ってことで。船員達にもずいぶん無理をさせてきたからな。
ここらで、ゆっくり休ませてあげたい。
「かんぱ〜〜〜〜い!」
ヤクモと二人でグラスを合わせる。
ん、このライスウオッカっていうのか?意外と飲みやすい、いくらでも入るぞ。
食事はちと、舌にあわないところもあるが、まあ食えることは食える。
酒が少し入ったところでヤクモが口を開く。
「コーキ、最近隠し事してないっすか?」
さすが、相棒。鋭いな。
「ん?いや、別に何もないさ。ただ、俺たちの行き先はひよこさんの地図しだい
だからな。このままSakurakoさんといつまでも同行というわけには…」
「ふーん、それが心配そうな顔の理由ってわけっすか?」
「まあ、そんなとこだ」
俺はヤクモの顔を覗き込むが、完全に納得していないな、こりゃ。
「コーキ君、いる?」
俺たちの会話を割って入るようにSakurakoさんがやってきた。
「大変なの!私たち早急にセビリアに戻る事になって。レースも中断するんだけど
コーキ君と同行も難しいかもしれないのよ」
Sakurakoさんが申し訳なさそうに息を切らしながら話してくれた。
「俺たちは大丈夫ですが、何があったんですか?」
「うん、アイシュキッスのことでちょっと…ね。でも、本当に大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫ですよ。こう見えても修羅場はくぐってますから」
「…そうじゃなくて…。コーキ君、あたしたちに言えないような何かを隠してる、
そんな気がしたから…。お願いだからカリブのときのようなことは…」
ちっ、女のカンってやつは、どうしてこんなにも鋭い。
「…Sakurakoさん。大丈夫、もうカリブのときのようなヘマは…。みんなの敵に
なるような事はしませんよ。安心してください」
Sakurakoさんが俺の顔を覗き込む。その心配そうな表情が…色っぽくて、
妙にドキドキしてしまう。
「コーキ君。うそはイヤよ。何をするのかわからないし、たぶん、止められないん
だろうけど。でも、無茶はしないって約束して…」
そうか、Sakurakoさんは、まだ…カリブで俺と闘った時のことを…。
俺は申し訳ない気持ちで胸がつまりそうになって、精一杯明るい声を絞り出す。
「本当に、…本当に大丈夫ですから。…信じてください」
「…わかったわ。じゃあ、セビリアに帰ってきたら、真っ先に顔を見せに来て」
「…約束しますよ」
俺のその言葉にようやく安心したのか、やっと笑顔を見せてくれる。
「…待ってるからね。じゃあ、今から準備に戻るから…」
「はい。必ず会いに行きますので、先にセビリアで待っててください。
旅の無事を祈ってます」
そして、Sakurakoさんはもう一度笑顔を見せてから港へと向っていった。
残された俺に待っていたのは…
「コーキ!本当に隠し事はないんですか?」
ヤクモの追求だった。
こいつはSakurakoさんのカンのよさを昔間近で見てるからなぁ。
「しつこいな!ないって言ったらないんだよ!!」
俺はキレぎみにヤクモに答える。ヤクモにゃ悪いが今はバラすわけにはいかない。
そいて、ヤクモがさらに追い討ちをかけようとした時、
「コ〜〜〜〜〜〜〜キィィィ!!どこにいるの?もう、あのボケ船長は!!!」
やたらと興奮したひよこさんが、酒場に飛び込んでくる。
俺は顔を引きつらせながら、
「すまんねぇ、ボケ船長はここにいるぞ!」
「たくっ!酒なんて飲んでる場合じゃないわよ!」
あいかわらず興奮しているひよこさんをなだめながら話を聞いてみると…
「…完成したわ」
「へっ?何が?」
「地図よ」
俺はその一言に身体が固まった。
「地図よ、地図!ついに、ついに地図が完成したのよ!」
地図を俺に見せながら踊ってはしゃぐひよこさん。
「まさか、交易所のオヤジが最後の1枚をくれるなんて、夢にも思わなかったわ!」
くるくる回りながら喜びを表現するひよこさん。
そうか、ついに、ついにこの時がきたのか。
俺はこれから始まる真の試練に身体が凍るような寒さを感じていた。
つづく
第23話 悪夢
ぼんやりとした景色の向こうに女の姿が見える。
誰だ…?
その姿はよく知ってるはずだった、それなのに誰かわからない。
赤い髪…長くて…でもそのスタイルは美しいプロポーション。
それでも顔はよくわからない。
神々しいオーラがその全体を隠すように…。
その女性が口を開く。
「…ごくろうであった。もう、そなたの役目は終わった。これは…礼だ」
その声に俺は聞き覚えがあった。
それなのに思い出せない。誰だ?
そして女性の手が俺の首に触れる。
…苦しい、息が…。
だが、俺は抵抗すらできない。
そして、その時、女性の顔をはっきりと見た。
お前は…
「うわぁぁぁああ!」
苦しいながらも声を出し、俺は飛び起きた。
そして、俺の首を絞めてたのは、ジェニーローズだった。
「なにしやがる!俺を殺す気か?」
俺はゲホッゲホッとしながら、悪態をつくが。
「ようやく起きたか?みぃみだったら死んでたぞ。」
なんてケロッとした顔で言いやがる。
みぃみさん、いつもこんな起こし方してるのかよ。
「そんなことより、ひよこさんが、また怒ってたぞ」
くっ、寝起きには最悪の報告だな。
「食料と水がやばいって」
…またか。
まぁしかたがない。これで40日ほど航海も続いている。
最後に補給をした港はどこだったっけ。
今、俺たちはワンヌガイに向って航海している最中であった。
ワンヌガイまでは、かなりの長距離航海になるとは聞いていたので、
なるべく節約はしているのだが、それでも足りないらしい。
「コーキ!どうすんのよ!」
ひよこさんに会って開口一番、この言葉だ。
「あと何日分だ?」
俺はひよこさんに確認する。
「せいぜい2日ってとこよ。どうするの?最近は雨も降らないし魚も釣れない」
「確かにそいつは困ったな。…しかたない、Sakurakoさんにわけてもらうか」
俺はさっそく、Sakurakoさんに向けて信号を送るように指示する。
Sakurakoさんの船はクリッパーなので、積載量のわりには水、食料は消費しない。
さっそく快い返事が帰ってきたので、船を接舷させる。
やってきたのは…アイシュキッスだ。
さっそく積み込みの指示をしてくれている。
その合間を縫って俺のところに近づき耳打ちする。
「…手数料頂戴…」
なにぃ〜!そんなものだせるか!
「ふーん、じゃあ持って帰りますわよ。水と食料」
「ぐっ。…しかし、なんでそんなに金がいるんだ?」
「すいませんが、言えません。それじゃ毎度です〜」
そう言って無邪気にふんだくって行きやがった。
もっとも理由は後日発覚するのだが…今の俺には想像もできなかった。
まあ、とにかく食料危機は無事乗り越え、それから20日ほどしてワンヌガイに到着した。
「コーキ君、ここには補給が終わり次第出航するからね」
Sakurakoさんの声が明るく響く。
しかし、1〜2日の滞在にはなりそうである。
当然、この夜はひさしぶりに宿でゆっくり眠る事ができた。
また、俺は自分がどこにいるかわからない場所にいた。
「そうだ、もうすぐ、もうすぐだ。もうすぐ私に会えるぞ…」
女の声が響く。
俺はその女の姿をよく知ってるはずだった。
なのに思い出せない。
この世のものとは思えない美しいプロポーション。
長くて、風になびく赤い燃えるような髪…。
すべて俺が知ってるはずだった。
…なのに、思い出せない。
「お前の役目を果たしに、早く早く我の元へ…」
やめろ!俺はその声に抵抗したがっていた。
なぜだ?理由は自分にもわからない。でも、従ってはいけない気がしていた。
それでも女は話す。
「ムダだ。そなたはわかっている。自分の役目を…」
「いやだぁぁ〜〜〜〜〜っ!!」
俺は飛び起きていた。
身体中を汗でベトベトにしながら。
そして、夢の内容を思い出せなかった。
すごく大事な事のはずなのに…。
そして俺たちは、この2日後無事準備を終えてアジアへと向かい出航した。
俺の胸に消えない不安をかかえたまま…。
つづく
誰だ…?
その姿はよく知ってるはずだった、それなのに誰かわからない。
赤い髪…長くて…でもそのスタイルは美しいプロポーション。
それでも顔はよくわからない。
神々しいオーラがその全体を隠すように…。
その女性が口を開く。
「…ごくろうであった。もう、そなたの役目は終わった。これは…礼だ」
その声に俺は聞き覚えがあった。
それなのに思い出せない。誰だ?
そして女性の手が俺の首に触れる。
…苦しい、息が…。
だが、俺は抵抗すらできない。
そして、その時、女性の顔をはっきりと見た。
お前は…
「うわぁぁぁああ!」
苦しいながらも声を出し、俺は飛び起きた。
そして、俺の首を絞めてたのは、ジェニーローズだった。
「なにしやがる!俺を殺す気か?」
俺はゲホッゲホッとしながら、悪態をつくが。
「ようやく起きたか?みぃみだったら死んでたぞ。」
なんてケロッとした顔で言いやがる。
みぃみさん、いつもこんな起こし方してるのかよ。
「そんなことより、ひよこさんが、また怒ってたぞ」
くっ、寝起きには最悪の報告だな。
「食料と水がやばいって」
…またか。
まぁしかたがない。これで40日ほど航海も続いている。
最後に補給をした港はどこだったっけ。
今、俺たちはワンヌガイに向って航海している最中であった。
ワンヌガイまでは、かなりの長距離航海になるとは聞いていたので、
なるべく節約はしているのだが、それでも足りないらしい。
「コーキ!どうすんのよ!」
ひよこさんに会って開口一番、この言葉だ。
「あと何日分だ?」
俺はひよこさんに確認する。
「せいぜい2日ってとこよ。どうするの?最近は雨も降らないし魚も釣れない」
「確かにそいつは困ったな。…しかたない、Sakurakoさんにわけてもらうか」
俺はさっそく、Sakurakoさんに向けて信号を送るように指示する。
Sakurakoさんの船はクリッパーなので、積載量のわりには水、食料は消費しない。
さっそく快い返事が帰ってきたので、船を接舷させる。
やってきたのは…アイシュキッスだ。
さっそく積み込みの指示をしてくれている。
その合間を縫って俺のところに近づき耳打ちする。
「…手数料頂戴…」
なにぃ〜!そんなものだせるか!
「ふーん、じゃあ持って帰りますわよ。水と食料」
「ぐっ。…しかし、なんでそんなに金がいるんだ?」
「すいませんが、言えません。それじゃ毎度です〜」
そう言って無邪気にふんだくって行きやがった。
もっとも理由は後日発覚するのだが…今の俺には想像もできなかった。
まあ、とにかく食料危機は無事乗り越え、それから20日ほどしてワンヌガイに到着した。
「コーキ君、ここには補給が終わり次第出航するからね」
Sakurakoさんの声が明るく響く。
しかし、1〜2日の滞在にはなりそうである。
当然、この夜はひさしぶりに宿でゆっくり眠る事ができた。
また、俺は自分がどこにいるかわからない場所にいた。
「そうだ、もうすぐ、もうすぐだ。もうすぐ私に会えるぞ…」
女の声が響く。
俺はその女の姿をよく知ってるはずだった。
なのに思い出せない。
この世のものとは思えない美しいプロポーション。
長くて、風になびく赤い燃えるような髪…。
すべて俺が知ってるはずだった。
…なのに、思い出せない。
「お前の役目を果たしに、早く早く我の元へ…」
やめろ!俺はその声に抵抗したがっていた。
なぜだ?理由は自分にもわからない。でも、従ってはいけない気がしていた。
それでも女は話す。
「ムダだ。そなたはわかっている。自分の役目を…」
「いやだぁぁ〜〜〜〜〜っ!!」
俺は飛び起きていた。
身体中を汗でベトベトにしながら。
そして、夢の内容を思い出せなかった。
すごく大事な事のはずなのに…。
そして俺たちは、この2日後無事準備を終えてアジアへと向かい出航した。
俺の胸に消えない不安をかかえたまま…。
つづく
第22話 涙雨
「コーキ君。明日の朝、出航だからね。」
Sakurakoさんの声が明るく俺に話しかける。
俺は、その声に無言でうなずきながらボーッと港を見ていた。
昨日、マリアルメルから聴いた地図の真実、そしてセシリーさんの目的。
頭の中でグルグルまわってるよ、ちくしょう!
そうそう、マリアルメルがあの炎の船から脱出できたのは、セシリーさんが、
隠れて俺達を見ていたからだった。だから、火を付けられて、すぐにマリアルメルを救助して二人で海に飛び込んだらしい。
セシリーさんが隠れてた理由はって?
もし、マリアルメルの思惑通りにひよこさんが連れて行かれたら、追いかけるつもりだったらしい。しかし、結果は彼女らの思いもしない事件へと発展していった。
まいったな…。
もし、地図の力でひよこさんが俺達と旅を続ける様に仕向けられたとしたら…。
困った、俺はひよこさんにどう接すればいいんだ?
「こぉぅらぁぁああ!!!コーキ!!!さぼってないで、働け!!!!」
げっ、ひよこさんが俺を見つけて怒鳴ってきやがった!
そのまま、俺はひよこさんに耳をつままれ、引きずられる。痛てえよ!
そのまま、ひよこさんに監視され働く俺。
だが、身体を動かしている方が何も考えなくて楽かも知れないな。
…
そして、夜がやってくる。
なかなか寝付けない俺は、一人港にやってきて海を見ていた。
この広い海のどこかで、いつか、ひよこさんはパンドラの箱を見つけてしまう。
その時、彼女は神話同様に箱を開けるのだろうか?
そんなことを考えている俺の横にセシリーさんがやってきた。
「ひよこさんの事、考えているのですか?」
セシリーさんが慈愛のこもった瞳で優しく俺をみつめる。
「…あんなにうるさいやつでも、今は仲間だからな。」
「…傷つけたくないですね、…ひよこさんのこと。」
「そうだな。だから、俺も決めましたよ。必ずパンドラの箱を破壊するって。」
セシリーさんは、俺のその言葉に微笑みながらうなずいた。
俺達は、結局朝まで二人で海を見ていた。互いの不安をごまかすように…。
そして、セシリーさんが準備のため一時宿屋へ向かったとき、俺はモーレツに後悔していた。
二人きりになるチャンスなんて、ほとんどないのに、なんで口説かなかったんだろう…。
ばかだな、俺。
…
「船長!出航準備できやしたぜ!」
船員の一人が俺に報告をする。
「よーし、ヤクモ!Sakurakoさんの出航を確認してから、出すぞ!俺達の後にはマリアルメルもでてくるから、もたもたするなよ!」
俺はヤクモに指示を出し、ヤクモが各船員にゲキを飛ばしている。
そうなのだ。Sakurakoさんのクリッパーとマリアルメルの大型スクーナー、そして、俺のブルーアドベンチャー号こと、大型探検用キャラックの3隻で艦隊を組んだのだ。
3隻はリオの港を出港し、しばらくクリッパー、キャラック、スクーナーの順で隊列を組み航行していた。が、
突然スクーナーのスピードが落ち、俺達と徐々に距離が離れていく。
何事かと思い、俺は船尾のほうへ駆けだしスクーナーを確認した。
スクーナーは何を思ったか、船体を横に向けて俺達に砲撃を開始した。
一瞬あせった俺達だが、弾はキャラックのかなり手前で失速し海に落ちていく。
これは威嚇射撃か!そう考えた俺は望遠鏡で改めてスクーナーの方を見ると…。
スクーナーの少し後方にポルトガルの海軍艦隊が確認できた。
なるほど、マリアルメルめ、囮になる気だな。
俺はしばし考えて、
「砲撃準備!目標大型スクーナー!ただし、1発も当てるんじゃないぞ!」
と、命令を出す。
「コーキ!あんた、何考えてるのよ!!」
ひよこさんが俺に抗議をするが、俺はマリアルメルの心意気をムダにするわけにはいかなかった。
彼女は俺とセシリーさんに全てを託し、俺達を先にいかすために囮になってくれたのだ。
ならば、俺達にできることは彼女と抗戦してる振りをして、スクーナーが海軍の的にならないようにするだけだ。
「めるるん!めるるーーん!!」
ひよこさんが叫ぶが、スクーナーはもはや遥か後方に見えるだけだった。
わかったよ、マリアルメル。ひよこさんは俺達が助けるから、無事で、無事でいてくれよ。
こうして、俺達がスクーナーと別れてから、しばらくして大粒の雨が振ってきた。
それは、まるでマリアルメルの涙のように、俺には感じられた。
………
ぶっ!突然、俺の顔に何かが貼りつきやがった。
それを取り除いた瞬間に目に入ってきたのは…。
ひよこさんの胸元で発行している地図だった。
「…コーキ…それ、地図の欠片みたいよ…。」
俺の顔に貼り付いていた欠片は、ひよこさんの地図と一体となっていった。
「これ、きっと、めるるんからの贈り物よ!そうよ、きっと!」
こんなこと言って、はしゃぐひよこさん。
断っておくが、その推測は絶対にはずれているからな!
俺は、いや、俺とセシリーさんは、はしゃぐひよこさんを複雑な思いで見ながら、次の港へと船を動かしていた。
つづく
Sakurakoさんの声が明るく俺に話しかける。
俺は、その声に無言でうなずきながらボーッと港を見ていた。
昨日、マリアルメルから聴いた地図の真実、そしてセシリーさんの目的。
頭の中でグルグルまわってるよ、ちくしょう!
そうそう、マリアルメルがあの炎の船から脱出できたのは、セシリーさんが、
隠れて俺達を見ていたからだった。だから、火を付けられて、すぐにマリアルメルを救助して二人で海に飛び込んだらしい。
セシリーさんが隠れてた理由はって?
もし、マリアルメルの思惑通りにひよこさんが連れて行かれたら、追いかけるつもりだったらしい。しかし、結果は彼女らの思いもしない事件へと発展していった。
まいったな…。
もし、地図の力でひよこさんが俺達と旅を続ける様に仕向けられたとしたら…。
困った、俺はひよこさんにどう接すればいいんだ?
「こぉぅらぁぁああ!!!コーキ!!!さぼってないで、働け!!!!」
げっ、ひよこさんが俺を見つけて怒鳴ってきやがった!
そのまま、俺はひよこさんに耳をつままれ、引きずられる。痛てえよ!
そのまま、ひよこさんに監視され働く俺。
だが、身体を動かしている方が何も考えなくて楽かも知れないな。
…
そして、夜がやってくる。
なかなか寝付けない俺は、一人港にやってきて海を見ていた。
この広い海のどこかで、いつか、ひよこさんはパンドラの箱を見つけてしまう。
その時、彼女は神話同様に箱を開けるのだろうか?
そんなことを考えている俺の横にセシリーさんがやってきた。
「ひよこさんの事、考えているのですか?」
セシリーさんが慈愛のこもった瞳で優しく俺をみつめる。
「…あんなにうるさいやつでも、今は仲間だからな。」
「…傷つけたくないですね、…ひよこさんのこと。」
「そうだな。だから、俺も決めましたよ。必ずパンドラの箱を破壊するって。」
セシリーさんは、俺のその言葉に微笑みながらうなずいた。
俺達は、結局朝まで二人で海を見ていた。互いの不安をごまかすように…。
そして、セシリーさんが準備のため一時宿屋へ向かったとき、俺はモーレツに後悔していた。
二人きりになるチャンスなんて、ほとんどないのに、なんで口説かなかったんだろう…。
ばかだな、俺。
…
「船長!出航準備できやしたぜ!」
船員の一人が俺に報告をする。
「よーし、ヤクモ!Sakurakoさんの出航を確認してから、出すぞ!俺達の後にはマリアルメルもでてくるから、もたもたするなよ!」
俺はヤクモに指示を出し、ヤクモが各船員にゲキを飛ばしている。
そうなのだ。Sakurakoさんのクリッパーとマリアルメルの大型スクーナー、そして、俺のブルーアドベンチャー号こと、大型探検用キャラックの3隻で艦隊を組んだのだ。
3隻はリオの港を出港し、しばらくクリッパー、キャラック、スクーナーの順で隊列を組み航行していた。が、
突然スクーナーのスピードが落ち、俺達と徐々に距離が離れていく。
何事かと思い、俺は船尾のほうへ駆けだしスクーナーを確認した。
スクーナーは何を思ったか、船体を横に向けて俺達に砲撃を開始した。
一瞬あせった俺達だが、弾はキャラックのかなり手前で失速し海に落ちていく。
これは威嚇射撃か!そう考えた俺は望遠鏡で改めてスクーナーの方を見ると…。
スクーナーの少し後方にポルトガルの海軍艦隊が確認できた。
なるほど、マリアルメルめ、囮になる気だな。
俺はしばし考えて、
「砲撃準備!目標大型スクーナー!ただし、1発も当てるんじゃないぞ!」
と、命令を出す。
「コーキ!あんた、何考えてるのよ!!」
ひよこさんが俺に抗議をするが、俺はマリアルメルの心意気をムダにするわけにはいかなかった。
彼女は俺とセシリーさんに全てを託し、俺達を先にいかすために囮になってくれたのだ。
ならば、俺達にできることは彼女と抗戦してる振りをして、スクーナーが海軍の的にならないようにするだけだ。
「めるるん!めるるーーん!!」
ひよこさんが叫ぶが、スクーナーはもはや遥か後方に見えるだけだった。
わかったよ、マリアルメル。ひよこさんは俺達が助けるから、無事で、無事でいてくれよ。
こうして、俺達がスクーナーと別れてから、しばらくして大粒の雨が振ってきた。
それは、まるでマリアルメルの涙のように、俺には感じられた。
………
ぶっ!突然、俺の顔に何かが貼りつきやがった。
それを取り除いた瞬間に目に入ってきたのは…。
ひよこさんの胸元で発行している地図だった。
「…コーキ…それ、地図の欠片みたいよ…。」
俺の顔に貼り付いていた欠片は、ひよこさんの地図と一体となっていった。
「これ、きっと、めるるんからの贈り物よ!そうよ、きっと!」
こんなこと言って、はしゃぐひよこさん。
断っておくが、その推測は絶対にはずれているからな!
俺は、いや、俺とセシリーさんは、はしゃぐひよこさんを複雑な思いで見ながら、次の港へと船を動かしていた。
つづく
第21話 パンドラの箱
リオの酒場に到着する俺。
しかし、酒場と言うよりは…その…、青空市場〜〜?
もう少しましな場所を選べよ、マリアルメル〜。
そんな俺の思惑を無視したかのようにマリアルメルが声をかける。
「おそ〜い!こっち、こっち〜!」
すでに何杯かは飲んでるんだろうな、ベロベロだよ。
もっとも、俺は未だにみぞおちの辺りが痛むので、出された酒を眺めるだけだ。
さて、なにから訊こうか?
そう考えた矢先マリアルメルから話始める。
「先に言っとくけど、謝らないわよ!」
おい、あれだけの事して、謝罪なしかい。
「…あんたのせいで…。ひよこさんを救えない…。」
こう言いながら大粒の涙をこぼし始めるマリアルメル。
ちょ〜〜っと、まて。迷惑してて助けて欲しいのは、むしろ俺なんだが。
しかし、マリアルメルはいきなり、俺の胸倉をつかみ、叫ぶ。
「あんた、ひよこさんが何を持ってるのか知ってるの?ひよこさんが、これからどんな目にあうのか…。」
そう言いながら涙を拭こうともせず、俺に詰め寄る。
「あんたがいなければ、あんたがいなければ、ひよこさんを連れ出せるのに…。」
そう言って、後は俺の胸を叩きながら大泣きするだけだ。
俺は何もできず、ただマリアルメルのやりたいようにさせるしかできなかった。
少し落ち着いてきた頃合を見はかってマリアルメルに尋ねる。
「俺は何も知らない。だから、知ってる事を教えてくれ。」
「…地図よ。」
マリアルメルがポツッと話す。
「地図?地図って、あのひよこさんが持ってるあの地図の欠片か?」
「そうよ。あの地図がひよこさんに不幸を呼ぶわ。」
俺には何がなんだがわからない。あれはただの沈没船の地図…じゃないんだろうとは思ってたが。
俺は黙ってマリアルメルの次の言葉を待つ。
「あの地図がすべて揃い、そこに眠ってるものを手に入れたとき…。」
俺は息を呑んだ。
「世界が滅ぶかもしれない…。」
ブハッッ!俺は思わず吹きだした。ばかばかしい。たかが宝のひとつやふたつで世界が滅んでたまるか!
だが、マリアルメルは不機嫌な表情を隠そうともせず、
「笑い事じゃないの!あの地図はパンドラの箱を示した地図なのよ!」
パンドラの箱…確かギリシャ神話だったかな、パンドラって娘が神様から箱を預かるが、けっして開けてはいけないと言われていた。しかし、好奇心に負けたパンドラは箱を開けてしまい、この世に災厄という災厄や、不幸をばらまいてしまった。こんな内容だったな。
「知ってるでしょ?この世の災厄を封じ込めた箱の事を。それが、あんたたちが探している宝の正体なのよ。」
「ばかばかしい。仮にその話が本当なら地図を捨てさせればいいじゃないか。」
「それができないんです…。」
わぁ、びっくりした!いつのまにか、俺たちのテーブルにセシリーさんが姿を現していた。
「…おそらく、ひよこさんはすでに地図に捕りこまれています。地図を手放す事はないでしょう。そして、取り込まれているのは…コーキさん、あなたもなんです。」
「えぇぇぇぇぇぇぇ〜〜っ!」
こいつは驚いた、俺は自分の意志で行動してる。誰かに操られてるつもりはない。
「なぜ、タイミングよく、ひよこさんやあなたに救いの手が現れるのでしょうか?疑問に思いませんでしたか?」
セシリーさんに言われて始めてじっくり考えてみる。たしかに、この旅では2〜3度は軽く死んでいてもおかしくはなかったろう。あれは俺の悪運の強さのせいじゃなかったのか?
「ひよこさんは地図に選ばれ、あなたはその護衛に選ばれた…。そう考えればつじつまが合うんです。」
なんてこった。俺たちの冒険って、見えない何かに仕組まれてたってのかよ。
「仮にひよこさんが地図を捨てても、必ずひよこさんの手に戻るでしょう。理由は…まだわかりませんが、ひよこさんを必要としているのはまちがいありません。」
俺は言葉もなかった。
マリアルメルだけなら信じなかったが、セシリーさんまでとは…。
「…正直、まだ信じられない。が、その話が本当ならば、どうすればいい?」
今度はマリアルメルが口を開く。
「…ひよこさんを…監禁するしか…ないのよ。…一生ね…。」
そうか、俺がひよこさんを連れまわす限り、いつかは箱にたどりつく。
それは、ひよこさんが世界滅亡の犯人になるって事か。
「…だから、あたしは一生ひよこさんといっしょに監禁されてもいいと考えたわ。それで、世界が救われるなら…。」
今度はセシリーさんが口を開く。
「そうね。監禁ができればいいのかもしれない。でも、ひよこさんに本当にそんな事できるの?だから、あたしはもうひとつの方法を選ぶことにしたわ。」
「もうひとつの方法?」
俺があほうのように問い直す。
「そう。それは…パンドラの箱そのものを破壊する事!」
このセシリーさんの言葉には強い決意が込められていた。
ってことは、セシリーさんは最初からそれが目的で、旅に同行してたのか。
「できるの?そんな事!神の造った兵器とも言われているのに…。」
マリアルメルの疑問は俺の疑問だった。
「やらなきゃ、ひよこさんも世界も救えませんわ。」
セシリーさんが静かに言い切る。
「すでに、喫茶ろんどん商会もバックアップの準備をヨーロッパでしてくれてます。もはや、他に方法はないのです!」
あの時フェニックスもE.C.ロンメルも、簡単に俺たちを見逃したのはこのせいか。
始めから奴らは俺たちは眼中になかったって事か。ちぃ、ばかにされた気分だぜ。
だが、確かにセシリーさんの言う通りだな。俺たちに選択肢はないようだ。
俺は自分達の未来に現れたこの不幸に大きな不安を感じていた。
つづく
しかし、酒場と言うよりは…その…、青空市場〜〜?
もう少しましな場所を選べよ、マリアルメル〜。
そんな俺の思惑を無視したかのようにマリアルメルが声をかける。
「おそ〜い!こっち、こっち〜!」
すでに何杯かは飲んでるんだろうな、ベロベロだよ。
もっとも、俺は未だにみぞおちの辺りが痛むので、出された酒を眺めるだけだ。
さて、なにから訊こうか?
そう考えた矢先マリアルメルから話始める。
「先に言っとくけど、謝らないわよ!」
おい、あれだけの事して、謝罪なしかい。
「…あんたのせいで…。ひよこさんを救えない…。」
こう言いながら大粒の涙をこぼし始めるマリアルメル。
ちょ〜〜っと、まて。迷惑してて助けて欲しいのは、むしろ俺なんだが。
しかし、マリアルメルはいきなり、俺の胸倉をつかみ、叫ぶ。
「あんた、ひよこさんが何を持ってるのか知ってるの?ひよこさんが、これからどんな目にあうのか…。」
そう言いながら涙を拭こうともせず、俺に詰め寄る。
「あんたがいなければ、あんたがいなければ、ひよこさんを連れ出せるのに…。」
そう言って、後は俺の胸を叩きながら大泣きするだけだ。
俺は何もできず、ただマリアルメルのやりたいようにさせるしかできなかった。
少し落ち着いてきた頃合を見はかってマリアルメルに尋ねる。
「俺は何も知らない。だから、知ってる事を教えてくれ。」
「…地図よ。」
マリアルメルがポツッと話す。
「地図?地図って、あのひよこさんが持ってるあの地図の欠片か?」
「そうよ。あの地図がひよこさんに不幸を呼ぶわ。」
俺には何がなんだがわからない。あれはただの沈没船の地図…じゃないんだろうとは思ってたが。
俺は黙ってマリアルメルの次の言葉を待つ。
「あの地図がすべて揃い、そこに眠ってるものを手に入れたとき…。」
俺は息を呑んだ。
「世界が滅ぶかもしれない…。」
ブハッッ!俺は思わず吹きだした。ばかばかしい。たかが宝のひとつやふたつで世界が滅んでたまるか!
だが、マリアルメルは不機嫌な表情を隠そうともせず、
「笑い事じゃないの!あの地図はパンドラの箱を示した地図なのよ!」
パンドラの箱…確かギリシャ神話だったかな、パンドラって娘が神様から箱を預かるが、けっして開けてはいけないと言われていた。しかし、好奇心に負けたパンドラは箱を開けてしまい、この世に災厄という災厄や、不幸をばらまいてしまった。こんな内容だったな。
「知ってるでしょ?この世の災厄を封じ込めた箱の事を。それが、あんたたちが探している宝の正体なのよ。」
「ばかばかしい。仮にその話が本当なら地図を捨てさせればいいじゃないか。」
「それができないんです…。」
わぁ、びっくりした!いつのまにか、俺たちのテーブルにセシリーさんが姿を現していた。
「…おそらく、ひよこさんはすでに地図に捕りこまれています。地図を手放す事はないでしょう。そして、取り込まれているのは…コーキさん、あなたもなんです。」
「えぇぇぇぇぇぇぇ〜〜っ!」
こいつは驚いた、俺は自分の意志で行動してる。誰かに操られてるつもりはない。
「なぜ、タイミングよく、ひよこさんやあなたに救いの手が現れるのでしょうか?疑問に思いませんでしたか?」
セシリーさんに言われて始めてじっくり考えてみる。たしかに、この旅では2〜3度は軽く死んでいてもおかしくはなかったろう。あれは俺の悪運の強さのせいじゃなかったのか?
「ひよこさんは地図に選ばれ、あなたはその護衛に選ばれた…。そう考えればつじつまが合うんです。」
なんてこった。俺たちの冒険って、見えない何かに仕組まれてたってのかよ。
「仮にひよこさんが地図を捨てても、必ずひよこさんの手に戻るでしょう。理由は…まだわかりませんが、ひよこさんを必要としているのはまちがいありません。」
俺は言葉もなかった。
マリアルメルだけなら信じなかったが、セシリーさんまでとは…。
「…正直、まだ信じられない。が、その話が本当ならば、どうすればいい?」
今度はマリアルメルが口を開く。
「…ひよこさんを…監禁するしか…ないのよ。…一生ね…。」
そうか、俺がひよこさんを連れまわす限り、いつかは箱にたどりつく。
それは、ひよこさんが世界滅亡の犯人になるって事か。
「…だから、あたしは一生ひよこさんといっしょに監禁されてもいいと考えたわ。それで、世界が救われるなら…。」
今度はセシリーさんが口を開く。
「そうね。監禁ができればいいのかもしれない。でも、ひよこさんに本当にそんな事できるの?だから、あたしはもうひとつの方法を選ぶことにしたわ。」
「もうひとつの方法?」
俺があほうのように問い直す。
「そう。それは…パンドラの箱そのものを破壊する事!」
このセシリーさんの言葉には強い決意が込められていた。
ってことは、セシリーさんは最初からそれが目的で、旅に同行してたのか。
「できるの?そんな事!神の造った兵器とも言われているのに…。」
マリアルメルの疑問は俺の疑問だった。
「やらなきゃ、ひよこさんも世界も救えませんわ。」
セシリーさんが静かに言い切る。
「すでに、喫茶ろんどん商会もバックアップの準備をヨーロッパでしてくれてます。もはや、他に方法はないのです!」
あの時フェニックスもE.C.ロンメルも、簡単に俺たちを見逃したのはこのせいか。
始めから奴らは俺たちは眼中になかったって事か。ちぃ、ばかにされた気分だぜ。
だが、確かにセシリーさんの言う通りだな。俺たちに選択肢はないようだ。
俺は自分達の未来に現れたこの不幸に大きな不安を感じていた。
つづく
第20話 よけいなお世話
アルベルトと向き合いながら間合いを測る俺。
隙はまったくないな、こりゃ。
かっこつけて啖呵を切ったものの、さてどうするか?
突っ込めば縦か横に真っ二つ!
と、いっても持久戦でも、俺の方が音をあげそうで…。
奇襲…は、もう無理だろうしな…。
しゃあない…一応あれを試すか…。
俺はアルベルトに対し徐々にではあるが距離を空ける。
逃げるためじゃないぞ!助走をつけるためだ。
ある程度まで間合いが空いた瞬間、俺は覚悟を決めて走り出した…。
ジグザグに!
右へ、左へと身体を振りながらアルベルトに近づいていく。
奴はその場を動かずにラブリュスを水平に構えた。
だが、そんなことは一向にかまわず俺は突進し奴の間合いに入る。
その瞬間、奴は水平にラブリュスを振り回し、俺は…。
その場でできるかぎり身体を屈めた。ボクシングでいうところのダッキングってやつだ。
見事、俺は賭けに勝ち、奴のラブリュスをギリギリのところでかわす。
そのままデュランダルを突き上げ身体ごと奴にぶつかっていく!
時間にすれば、ほんの数秒もないだろうが、この瞬間に俺は勝利を確信していた。
だが、奴は身体を無理やり捻り、ラブリュスは奴の右肩をかすめていく。
その瞬間、俺は腹部に強烈な痛みを感じていた。
奴の右拳が俺のみぞおちを捕らえ、見事なカウンターパンチとなって突き刺さる。
「ぐっ、えぇぇぇぇぇぇぇえええ!」
俺は声にもならない声をだしながら、少し後退しその場でくずれおちながら…
胃液を吐きまくっていた。
アルベルトが俺の側に近づき見下ろしやがる。
「…無様だな…。こんな弱い男が我が艦隊を翻弄していたとは…。」
心底、あきれ果てた声が俺に浴びせかけられる。
「コーキ!」
「コーキさん!」
「ばかぁぁあ!!」
みんなが悲壮な叫びをあげているのが耳に入る。
いよいよ、俺も終わりか…。ヤクモ、後を頼んだ。
「覚悟はいいか?」
アルベルトの声が死神のささやきに聞こえる…。みんな、さよならだ…。
俺は目を閉じ、その瞬間を待った。その時…
鼓膜を破るような轟音と大きく船体が揺れる。
そして、どこからか焼けるような匂いがしてくる。
俺もアルベルトもなにがおこっているのか理解できない。
「みなさん!合図です!!」
Sakurakoさんが突然叫ぶと同時に、どこからか
「コォ〜〜〜キィィィイ!」
これは、ヤクモの叫び声か?
気が付くとヤクモがアルベルトに不意打ちをして、俺から引き離すと同時に、
俺を抱えて、そのまま海に向かって船から飛び込むって、おい、めっちゃ高いぞ!!
身体中が悲鳴をあげるほどの衝撃を感じながら、本能的に水面に向かって泳ぐ。
「ぷはぁぁ〜!」
ようやく水面に顔をだした俺が見たのは、次々に飛び込む仲間たちと、
燃え盛る重キャラックの船体だった。
どうやら火薬庫を破壊して、それ以外にも爆破工作をしていたのだろう。
その船上から俺は身体が凍るような視線を受け取った。
姿こそ炎に隠れて見えないが、まちがいなくアルベルトの奴だ。
おそらく奴も生き残り、再び俺たちと合間見えるだろう。
その時、俺は無事に生き残れるのだろうか?
「コーキ、無事っすか?」
俺のところまで泳いできたヤクモが能天気に声をかける。
「ヤクモ…、このばかやろう!一騎打ちのじゃましやがって!」
俺はヤクモを怒鳴りつけるが…顔を笑っているんだろうな。
「すまないっす、コーキ。でも、ほら、迎えもそこに来てるっすよ。」
俺はヤクモが示す方向を見ると1隻のバルシャが近づいてきて、俺とヤクモを
救助してくれた。
船に乗っているのはアイシュキッスだ。彼女の話だと残りの仲間たちは違うバルシャで
救出したそうだ。そのアイシュキッスが俺に手を差し出す。
「後で救出料を請求にいきますね。」
そう言ってにっこり笑う。その後で、
「ちなみにお姉さまにチクったら、料金がわりに命をもらいますねぇ。」
と、目が笑ってない笑顔で言った。
もっとも、このアイシュキッスの行動にも理由があったのだが、それは後日に。
このときの俺は助かった喜び半分、請求された怒り半分ってとこだった。
ま、いいか。今は命があったことを素直に喜ぼう。
だが、そんな思いも、この後に聞いたマリアルメルの告白が打ち砕いてくれるのであった。
助かった俺は、しばらくの間食らったボディブローの影響で飯も食えず、地獄の苦しみを味わっていた。
「あららぁ、大変そうね。」
ニヤニヤと俺の様子を見ながらマリアルメルが近づいてくる。
「う、うるせぇ!元はといえば誰のせいだよ!」
俺は苦しそうな顔に精一杯の怒りを貼り付けてマリアルメルに毒づく。
「そうね、悪かったわ。おわびに、あたしの知ってる事を話してあげようと思ったんだけど、そんな顔をするのならやめちゃおっかな〜。」
こ、このやろう〜、いけしゃあしゃあと…。だが、彼女から訊きたい事は山ほどある。
なぜ、俺を罠に嵌めたのか?
なぜ、ポルトガルを裏切ってまでひよこさんを連れ去ろうとしたのか?
どうやって、燃える船から脱出したのか?
なにより、今回の一件にうちのメンバーがどこまで関わっていたのか?
俺以外はぜったいに皆…グルだろう!
で、なくては救出劇の手際が良すぎる。
「わかった。後で酒場に向かうから、そこで話せ。」
俺はマリアルメルと約束をする。
「そうね。こんな話、酔わなきゃできないわ…ね。」
つづく
隙はまったくないな、こりゃ。
かっこつけて啖呵を切ったものの、さてどうするか?
突っ込めば縦か横に真っ二つ!
と、いっても持久戦でも、俺の方が音をあげそうで…。
奇襲…は、もう無理だろうしな…。
しゃあない…一応あれを試すか…。
俺はアルベルトに対し徐々にではあるが距離を空ける。
逃げるためじゃないぞ!助走をつけるためだ。
ある程度まで間合いが空いた瞬間、俺は覚悟を決めて走り出した…。
ジグザグに!
右へ、左へと身体を振りながらアルベルトに近づいていく。
奴はその場を動かずにラブリュスを水平に構えた。
だが、そんなことは一向にかまわず俺は突進し奴の間合いに入る。
その瞬間、奴は水平にラブリュスを振り回し、俺は…。
その場でできるかぎり身体を屈めた。ボクシングでいうところのダッキングってやつだ。
見事、俺は賭けに勝ち、奴のラブリュスをギリギリのところでかわす。
そのままデュランダルを突き上げ身体ごと奴にぶつかっていく!
時間にすれば、ほんの数秒もないだろうが、この瞬間に俺は勝利を確信していた。
だが、奴は身体を無理やり捻り、ラブリュスは奴の右肩をかすめていく。
その瞬間、俺は腹部に強烈な痛みを感じていた。
奴の右拳が俺のみぞおちを捕らえ、見事なカウンターパンチとなって突き刺さる。
「ぐっ、えぇぇぇぇぇぇぇえええ!」
俺は声にもならない声をだしながら、少し後退しその場でくずれおちながら…
胃液を吐きまくっていた。
アルベルトが俺の側に近づき見下ろしやがる。
「…無様だな…。こんな弱い男が我が艦隊を翻弄していたとは…。」
心底、あきれ果てた声が俺に浴びせかけられる。
「コーキ!」
「コーキさん!」
「ばかぁぁあ!!」
みんなが悲壮な叫びをあげているのが耳に入る。
いよいよ、俺も終わりか…。ヤクモ、後を頼んだ。
「覚悟はいいか?」
アルベルトの声が死神のささやきに聞こえる…。みんな、さよならだ…。
俺は目を閉じ、その瞬間を待った。その時…
鼓膜を破るような轟音と大きく船体が揺れる。
そして、どこからか焼けるような匂いがしてくる。
俺もアルベルトもなにがおこっているのか理解できない。
「みなさん!合図です!!」
Sakurakoさんが突然叫ぶと同時に、どこからか
「コォ〜〜〜キィィィイ!」
これは、ヤクモの叫び声か?
気が付くとヤクモがアルベルトに不意打ちをして、俺から引き離すと同時に、
俺を抱えて、そのまま海に向かって船から飛び込むって、おい、めっちゃ高いぞ!!
身体中が悲鳴をあげるほどの衝撃を感じながら、本能的に水面に向かって泳ぐ。
「ぷはぁぁ〜!」
ようやく水面に顔をだした俺が見たのは、次々に飛び込む仲間たちと、
燃え盛る重キャラックの船体だった。
どうやら火薬庫を破壊して、それ以外にも爆破工作をしていたのだろう。
その船上から俺は身体が凍るような視線を受け取った。
姿こそ炎に隠れて見えないが、まちがいなくアルベルトの奴だ。
おそらく奴も生き残り、再び俺たちと合間見えるだろう。
その時、俺は無事に生き残れるのだろうか?
「コーキ、無事っすか?」
俺のところまで泳いできたヤクモが能天気に声をかける。
「ヤクモ…、このばかやろう!一騎打ちのじゃましやがって!」
俺はヤクモを怒鳴りつけるが…顔を笑っているんだろうな。
「すまないっす、コーキ。でも、ほら、迎えもそこに来てるっすよ。」
俺はヤクモが示す方向を見ると1隻のバルシャが近づいてきて、俺とヤクモを
救助してくれた。
船に乗っているのはアイシュキッスだ。彼女の話だと残りの仲間たちは違うバルシャで
救出したそうだ。そのアイシュキッスが俺に手を差し出す。
「後で救出料を請求にいきますね。」
そう言ってにっこり笑う。その後で、
「ちなみにお姉さまにチクったら、料金がわりに命をもらいますねぇ。」
と、目が笑ってない笑顔で言った。
もっとも、このアイシュキッスの行動にも理由があったのだが、それは後日に。
このときの俺は助かった喜び半分、請求された怒り半分ってとこだった。
ま、いいか。今は命があったことを素直に喜ぼう。
だが、そんな思いも、この後に聞いたマリアルメルの告白が打ち砕いてくれるのであった。
助かった俺は、しばらくの間食らったボディブローの影響で飯も食えず、地獄の苦しみを味わっていた。
「あららぁ、大変そうね。」
ニヤニヤと俺の様子を見ながらマリアルメルが近づいてくる。
「う、うるせぇ!元はといえば誰のせいだよ!」
俺は苦しそうな顔に精一杯の怒りを貼り付けてマリアルメルに毒づく。
「そうね、悪かったわ。おわびに、あたしの知ってる事を話してあげようと思ったんだけど、そんな顔をするのならやめちゃおっかな〜。」
こ、このやろう〜、いけしゃあしゃあと…。だが、彼女から訊きたい事は山ほどある。
なぜ、俺を罠に嵌めたのか?
なぜ、ポルトガルを裏切ってまでひよこさんを連れ去ろうとしたのか?
どうやって、燃える船から脱出したのか?
なにより、今回の一件にうちのメンバーがどこまで関わっていたのか?
俺以外はぜったいに皆…グルだろう!
で、なくては救出劇の手際が良すぎる。
「わかった。後で酒場に向かうから、そこで話せ。」
俺はマリアルメルと約束をする。
「そうね。こんな話、酔わなきゃできないわ…ね。」
つづく


