小説 大航海時代オンライン サルベージャー
大航海時代オンライン能登鯖で遊んでるコーキです。 これまでの内容はこちらを参照! http://ameblo.jp/tokusya2ka/ よろしくです<(_ _)>
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第6話 一難去ってまた一難
幽霊船の一件が終わった後、俺は、いや俺たちは寝込んでいた。
どうやら幽霊船の中で生気みたいなものを消耗していたのでは?という見解だ。
ちなみに俺は3日、ヤクモとジェニーさんは丸1日。
だが、それとは対照的にひよこさんは異常なまでに元気だったらしい。
まあ、それよりもびっくりしたのが、どうやらあの霧の中でかなりの日数が経過してるらしい事だ。
あきらかに夜空の星の位置が大きく変わっていたのだ。
正確な日数はわからないんだが、これが何を意味するか?
手っ取り早く言えば世界中にお尋ね者の手配書が回っていてもおかしくないだけの時間が経過してるって事だ。
もはやカリブすらも安全地帯ではないだろう、覚悟しなきゃな。
さて、今日はブルーアドベンチャーのもう一人の客人ジェニーローズの話をしようか。
まず彼女の朝は誰よりも遅い。何故か?
答えは簡単、誰も起こすことが出来ないからだ。
これはジェニーさんの寝起きが悪いとかじゃない。むしろ彼女の寝起きはいい、いや、ある意味良すぎるのだ。
誰かが彼女を起こそうとすると反射的に飛び起きた彼女に必ず手刀を食らう。
このせいで何人かはしばらく使い物にはならなくなった。
ちなみにジェニーローズ曰く、このぐらいの芸当ができないとみぃみさん(ジェニーさんの本来の相棒の女性と、いうか保護者だな)相手では命がいくつあっても足りんらしい。
普段どんな目にあってんだよ。
そのため、彼女を起こすのはヤクモの役目になったんだが、実はヤクモは朝に極端に弱い。
そのためジェニーさんが起こされるのが一番最後になってしまうのである。
さて、続いて食事だが、実はちと困った事がある。
別に量が問題なのではない。ちなみに軽く俺たちの倍は食べるのだが、これは運動量や筋力を考えるとしごく妥当な感じだ。
問題は彼女は腹が減るとうるさくなって不機嫌になるのだ。
はっきり言ってひよこさんすら、空腹時のジェニーさんをもてあましてる。
まあ非常にわかりやすい性格なんだが、だからいつもみぃみさんに怒られてるんだな。
で、食事がすんだら剣術の訓練をかかさない。
うちの船員どもも何人か教えてもらってるから、これは非常にありがたい。
しかしである……。
それ以外のこと、料理は前にも触れたよな?何があったのかは、やっぱり言いたくない。
まあ、船内が全滅寸前までいったことだけ伝えておこうか。
さらに、どうやら他の事も苦手らしく、清掃、裁縫、整頓、金銭管理すべてにおいて……。
なにを言いたいのかを察してくれ。
そんなジェニーローズだが、気が付くと海をボーッと眺めてる事も多い。
そんな時は声をかけるのさえ気がひけるほどの雰囲気を纏っている。
おそらくは以前亡くした恋人の事でも思い出しているのであろう。
考えてみれば不思議な感じだな。
俺よりも海事が強く、喜怒哀楽もはげしく、そして悲しい過去ももってるジェニーさんと同じ船に乗って航海してるなんて、つい先日までは夢にも思ってなかった。
これはひよこさんにもいえるが、人生どこでなにがあるかわからんもんであるなぁ。
さて、幽霊船の一件からしばらく航海の後ようやくカリブの島々が見えてきた。
よく幽霊船以外にはなにもなかったなぁ……。
なんて甘い展開はどうやら許しちゃもらえんみたいだ。
俺たちをカリブで迎えていたのはポルトガルの艦隊だった。
どうやら重キャラックが4隻のようだ。
やっぱり俺たちの件は伝わってしまったようだな。
「船長、どうしましょうか?」
シャルロットが不安そうな声をだして俺に相談をしてくる。
「コーキ、ここは強行突破しかないっすか?」
これはヤクモの意見。なるほど、案外その方がいいかもしれんな。
重キャラックは攻撃力が高いものの反面機動性には大きく欠ける。
すれ違う間の砲撃に耐えることができれば、あるいは……。
だが、そのためには常に船の補修に人員を裂かねばならないし、帆を破られても致命傷になりかねない危険な面も持ち合わせているのだ。
「コーキなら危険を承知で強行突破をするんでしょ?」
ジェニーさんがわくわくするような表情で話しかけてくる。
やるしかねぇか……。
「ちょっと、やるんだったら早く指示を出しなさいよ!」
うへぇ、ひよこさんはあいかわらず手厳しい。
よし覚悟を決めるか。
「野郎ども!本艦はただ今より敵艦隊のど真ん中を強行突破する。船体の修理に全力をそそぎ、砲撃はできるだけ敵の足を止めろよ!それから……」
この次の言葉、できれば全員守れよ。
「全員一人たりとも、死ぬんじゃねぇぞ!!」
つづく
どうやら幽霊船の中で生気みたいなものを消耗していたのでは?という見解だ。
ちなみに俺は3日、ヤクモとジェニーさんは丸1日。
だが、それとは対照的にひよこさんは異常なまでに元気だったらしい。
まあ、それよりもびっくりしたのが、どうやらあの霧の中でかなりの日数が経過してるらしい事だ。
あきらかに夜空の星の位置が大きく変わっていたのだ。
正確な日数はわからないんだが、これが何を意味するか?
手っ取り早く言えば世界中にお尋ね者の手配書が回っていてもおかしくないだけの時間が経過してるって事だ。
もはやカリブすらも安全地帯ではないだろう、覚悟しなきゃな。
さて、今日はブルーアドベンチャーのもう一人の客人ジェニーローズの話をしようか。
まず彼女の朝は誰よりも遅い。何故か?
答えは簡単、誰も起こすことが出来ないからだ。
これはジェニーさんの寝起きが悪いとかじゃない。むしろ彼女の寝起きはいい、いや、ある意味良すぎるのだ。
誰かが彼女を起こそうとすると反射的に飛び起きた彼女に必ず手刀を食らう。
このせいで何人かはしばらく使い物にはならなくなった。
ちなみにジェニーローズ曰く、このぐらいの芸当ができないとみぃみさん(ジェニーさんの本来の相棒の女性と、いうか保護者だな)相手では命がいくつあっても足りんらしい。
普段どんな目にあってんだよ。
そのため、彼女を起こすのはヤクモの役目になったんだが、実はヤクモは朝に極端に弱い。
そのためジェニーさんが起こされるのが一番最後になってしまうのである。
さて、続いて食事だが、実はちと困った事がある。
別に量が問題なのではない。ちなみに軽く俺たちの倍は食べるのだが、これは運動量や筋力を考えるとしごく妥当な感じだ。
問題は彼女は腹が減るとうるさくなって不機嫌になるのだ。
はっきり言ってひよこさんすら、空腹時のジェニーさんをもてあましてる。
まあ非常にわかりやすい性格なんだが、だからいつもみぃみさんに怒られてるんだな。
で、食事がすんだら剣術の訓練をかかさない。
うちの船員どもも何人か教えてもらってるから、これは非常にありがたい。
しかしである……。
それ以外のこと、料理は前にも触れたよな?何があったのかは、やっぱり言いたくない。
まあ、船内が全滅寸前までいったことだけ伝えておこうか。
さらに、どうやら他の事も苦手らしく、清掃、裁縫、整頓、金銭管理すべてにおいて……。
なにを言いたいのかを察してくれ。
そんなジェニーローズだが、気が付くと海をボーッと眺めてる事も多い。
そんな時は声をかけるのさえ気がひけるほどの雰囲気を纏っている。
おそらくは以前亡くした恋人の事でも思い出しているのであろう。
考えてみれば不思議な感じだな。
俺よりも海事が強く、喜怒哀楽もはげしく、そして悲しい過去ももってるジェニーさんと同じ船に乗って航海してるなんて、つい先日までは夢にも思ってなかった。
これはひよこさんにもいえるが、人生どこでなにがあるかわからんもんであるなぁ。
さて、幽霊船の一件からしばらく航海の後ようやくカリブの島々が見えてきた。
よく幽霊船以外にはなにもなかったなぁ……。
なんて甘い展開はどうやら許しちゃもらえんみたいだ。
俺たちをカリブで迎えていたのはポルトガルの艦隊だった。
どうやら重キャラックが4隻のようだ。
やっぱり俺たちの件は伝わってしまったようだな。
「船長、どうしましょうか?」
シャルロットが不安そうな声をだして俺に相談をしてくる。
「コーキ、ここは強行突破しかないっすか?」
これはヤクモの意見。なるほど、案外その方がいいかもしれんな。
重キャラックは攻撃力が高いものの反面機動性には大きく欠ける。
すれ違う間の砲撃に耐えることができれば、あるいは……。
だが、そのためには常に船の補修に人員を裂かねばならないし、帆を破られても致命傷になりかねない危険な面も持ち合わせているのだ。
「コーキなら危険を承知で強行突破をするんでしょ?」
ジェニーさんがわくわくするような表情で話しかけてくる。
やるしかねぇか……。
「ちょっと、やるんだったら早く指示を出しなさいよ!」
うへぇ、ひよこさんはあいかわらず手厳しい。
よし覚悟を決めるか。
「野郎ども!本艦はただ今より敵艦隊のど真ん中を強行突破する。船体の修理に全力をそそぎ、砲撃はできるだけ敵の足を止めろよ!それから……」
この次の言葉、できれば全員守れよ。
「全員一人たりとも、死ぬんじゃねぇぞ!!」
つづく
第5話 虎穴に入らずんば虎子を得ず
間一髪でスケルトンの剣が止まった。
ひよこさんは思わず座り込む。
俺たちは、あたりをすぐさま見渡してみるが、どうやらすべてのスケルトンの動きが止まっているようだ。
そして、その原因と思われるのがひよこさんの胸で光ってるものである。
で、ひよこさんの胸ばかりを見てたらビンタを食らった。
「あんた、何、そんなに胸を見てんのよ!!」
「ちょっとまて!誰がそんな小さい胸を見るか!!俺が見てるのはその光ってるものの方だ!」
思わず叫ぶ俺にひよこさんから、もう一発ビンタを食らう。
「誰が貧乳よ!よく見なさいよ、ほらほらほら!」
そう言って涙目になりながら胸を突き出して来るんだが。
……お前、戦闘中ってわかってるのか?
とにかく、俺たちは念のために動かないスケルトンの頭をすべて潰す。
ほぼ船内にいたスケルトンをかたずけたところで俺たちは幽霊船に侵入を開始した。
幽霊船の船内はかなり広く暗く、そして……汚い。
だが、幸いスケルトンも、ゾンビもいないようで完全な無人だった。
壁のそこら中にコケや藻みたいなものがこびりついている。
間違いなく一度は海の底に沈んでいたようだ。
当然、船内は異臭に包まれていて、あまり長居はしたくなかった。
真っ暗な中、ひよこさんの胸がますます光ってる。
その光ってるものの正体は、なんと驚くなよ。
沈没船の地図のかけらだった。蛍光塗料とかじゃなく、地図そのものが発光しているのだ。
はっきり言って絶対現実じゃないと思いたい。
どうやら、この地図と幽霊船は何か関係があるんだな。
しかし、地図はひよこさんの(ないに等しい)胸の中……。
俺が、こんなことを考えた瞬間、ひよこさんの右ストレートが俺のアゴを捕らえる。
もちろん、俺は壁まで吹っ飛んじゃったよ、うぇ、汚ねぇ。
「誰の胸がないに等しいのよ!!」
ひよこさんが眉間にしわを集めまくって怒ってきた。
「な、な、な、な、なんで、なんでわかったんだ?」
「あんた、声にだして言ってたじゃんか!!」
俺は思わずヤクモに聞こえたか確認したが、ヤクモはびっくりした顔で首を横に振る。
いったい、どうなってんだ?
「ば、ば、ばかやろう!誰もそんなこと言ってないだろうが!」
「あんた、さっき『なんで、わかったんだ?』って、言ったじゃん。罰として3日間、あんたのご飯は作らないからね!」
「ちょっと、まて〜〜〜っ!お、俺は仮にも船長だぞ!」
「知ったこっちゃないわよ。」
とほほ、ひよこさんが完全にすねちゃったよ。
「ねぇ、コーキ。今ってそんな事やってる場合じゃないと思うんだけど。」
うっ、ジェニーさんから、鋭い突っ込みが……。
そうだった、ここは幽霊船の中。ひよこさんの貧乳にかまってる場合じゃな……。
俺が、もう1発右ストレートを食らった事は言うまでもないよな。
ちなみに3日間から1週間に伸びちまったよ。もう、いらん事考えるのはやめよう。
さて、奥に進むに連れて地図の発光が大きくなり、とある部屋の前で光が一直線になり扉のカギを照らす。ますます、現実じゃないよな、うん。
で、ジェニーローズが思いっきり扉を蹴飛ばす。
しばらく見ないうちにますます過激になったなぁ。
どうやら、ここは船長室のようだ。
そして、誰かが椅子に座っている。
「久しいな、小僧ども……。」
俺は、いや、俺とヤクモとジェニーさんは背筋に寒いものが走った。
そんな、お前が、お前がここで会うわけがない。
俺たちの目の前にいたのは、かつてヤクモ、ジェニーさんと共に闘った相手、そしてヤクモと二人がかりで、ようやく倒した相手……ミノスだった。
ミノスがゆっくり立ち上がる。俺たちは奴のおそろしさをよく知っている。
そのミノスの姿を見て俺たちはさらに驚いた。
その頭から胴まで縦に裂ける大きな傷と腹部に何かで刺されたような後になってる傷、
つまり、俺たちが倒した時の姿のまましゃべっていたのだ。
「ぐふふ、なるほど。お前達がやってくるから、主は俺を呼び出したのか。だが、安心しな。ここにいるのは、お前達と闘うためではないようだ。ほれ、これを持って行け。」
ミノスはそう言って、腐ってる左手で紙切れを差し出す。
それをおそるおそる受け取る俺。不意打ちするなよ、お前みたいなのとは2度とやりあいたくねぇ。
奴は攻撃することなく紙切れを俺に渡し、
「それをそこのチビに渡すんだな。ぐふふふふふっ。」
この言葉を残して、その場から崩れただのドロドロの肉の塊となっていった。
おっと、想像するなよ、たぶん2度と肉が食えなくなるぞ。
受け取った紙切れを確認すると、沈没船の地図のかけらだった。
「おい、お前の持ってる地図を出してくれないか?」
ひよこさんにそう言うと、
「……お前?」
やべぇ、コメカミのあたりがピクピクしてる。
「すいません、ひよこさま。地図を見せてもらえないでしょうか?」
ううっ、情けない俺。
しぶしぶながらも地図を出すひよこさん。
地図と地図をあわせた瞬間、地図同士が発光して1枚の地図のかけらになる。
ますます持って現実離れしてるよな。
だが、その瞬間、幽霊船が大きく揺れだし船体のあちこちがくずれ始めた。
「やべぇ、急いでアドベンチャーに戻るぞ!」
って、部屋に残ってるのは俺とひよこさんだけ?お前ら薄情すぎないか?
俺は思わずひよこさんの手を握り締めて、大急ぎでブルーアドベンチャーへと戻っていく。
俺たちが船に戻ると同時に幽霊船が崩壊していき、霧が晴れていった。
まだ俺とひよこさんは荒い息をしている。が、ひよこさんが俺に近づいてきた。
お、助けたお礼でも言ってくれるのか?かわいいとこもあるじゃん。
って、思うあたりが俺の甘いとこだな。
俺の側まできたひよこさんが、まずビンタを俺にかまして、
「気安く手を握るんじゃないわよ!!」
俺はこのビンタの後3日間寝込んだらしいので、この後の記憶はない。
ただ、ひとつわかったのは……ひよこさんにメチャメチャ嫌われてる事だな。
こうしてブルーアドベンチャーはカリブへの航海を続けている。
はぁ、先は長いよな、うん。
つづく
ひよこさんは思わず座り込む。
俺たちは、あたりをすぐさま見渡してみるが、どうやらすべてのスケルトンの動きが止まっているようだ。
そして、その原因と思われるのがひよこさんの胸で光ってるものである。
で、ひよこさんの胸ばかりを見てたらビンタを食らった。
「あんた、何、そんなに胸を見てんのよ!!」
「ちょっとまて!誰がそんな小さい胸を見るか!!俺が見てるのはその光ってるものの方だ!」
思わず叫ぶ俺にひよこさんから、もう一発ビンタを食らう。
「誰が貧乳よ!よく見なさいよ、ほらほらほら!」
そう言って涙目になりながら胸を突き出して来るんだが。
……お前、戦闘中ってわかってるのか?
とにかく、俺たちは念のために動かないスケルトンの頭をすべて潰す。
ほぼ船内にいたスケルトンをかたずけたところで俺たちは幽霊船に侵入を開始した。
幽霊船の船内はかなり広く暗く、そして……汚い。
だが、幸いスケルトンも、ゾンビもいないようで完全な無人だった。
壁のそこら中にコケや藻みたいなものがこびりついている。
間違いなく一度は海の底に沈んでいたようだ。
当然、船内は異臭に包まれていて、あまり長居はしたくなかった。
真っ暗な中、ひよこさんの胸がますます光ってる。
その光ってるものの正体は、なんと驚くなよ。
沈没船の地図のかけらだった。蛍光塗料とかじゃなく、地図そのものが発光しているのだ。
はっきり言って絶対現実じゃないと思いたい。
どうやら、この地図と幽霊船は何か関係があるんだな。
しかし、地図はひよこさんの(ないに等しい)胸の中……。
俺が、こんなことを考えた瞬間、ひよこさんの右ストレートが俺のアゴを捕らえる。
もちろん、俺は壁まで吹っ飛んじゃったよ、うぇ、汚ねぇ。
「誰の胸がないに等しいのよ!!」
ひよこさんが眉間にしわを集めまくって怒ってきた。
「な、な、な、な、なんで、なんでわかったんだ?」
「あんた、声にだして言ってたじゃんか!!」
俺は思わずヤクモに聞こえたか確認したが、ヤクモはびっくりした顔で首を横に振る。
いったい、どうなってんだ?
「ば、ば、ばかやろう!誰もそんなこと言ってないだろうが!」
「あんた、さっき『なんで、わかったんだ?』って、言ったじゃん。罰として3日間、あんたのご飯は作らないからね!」
「ちょっと、まて〜〜〜っ!お、俺は仮にも船長だぞ!」
「知ったこっちゃないわよ。」
とほほ、ひよこさんが完全にすねちゃったよ。
「ねぇ、コーキ。今ってそんな事やってる場合じゃないと思うんだけど。」
うっ、ジェニーさんから、鋭い突っ込みが……。
そうだった、ここは幽霊船の中。ひよこさんの貧乳にかまってる場合じゃな……。
俺が、もう1発右ストレートを食らった事は言うまでもないよな。
ちなみに3日間から1週間に伸びちまったよ。もう、いらん事考えるのはやめよう。
さて、奥に進むに連れて地図の発光が大きくなり、とある部屋の前で光が一直線になり扉のカギを照らす。ますます、現実じゃないよな、うん。
で、ジェニーローズが思いっきり扉を蹴飛ばす。
しばらく見ないうちにますます過激になったなぁ。
どうやら、ここは船長室のようだ。
そして、誰かが椅子に座っている。
「久しいな、小僧ども……。」
俺は、いや、俺とヤクモとジェニーさんは背筋に寒いものが走った。
そんな、お前が、お前がここで会うわけがない。
俺たちの目の前にいたのは、かつてヤクモ、ジェニーさんと共に闘った相手、そしてヤクモと二人がかりで、ようやく倒した相手……ミノスだった。
ミノスがゆっくり立ち上がる。俺たちは奴のおそろしさをよく知っている。
そのミノスの姿を見て俺たちはさらに驚いた。
その頭から胴まで縦に裂ける大きな傷と腹部に何かで刺されたような後になってる傷、
つまり、俺たちが倒した時の姿のまましゃべっていたのだ。
「ぐふふ、なるほど。お前達がやってくるから、主は俺を呼び出したのか。だが、安心しな。ここにいるのは、お前達と闘うためではないようだ。ほれ、これを持って行け。」
ミノスはそう言って、腐ってる左手で紙切れを差し出す。
それをおそるおそる受け取る俺。不意打ちするなよ、お前みたいなのとは2度とやりあいたくねぇ。
奴は攻撃することなく紙切れを俺に渡し、
「それをそこのチビに渡すんだな。ぐふふふふふっ。」
この言葉を残して、その場から崩れただのドロドロの肉の塊となっていった。
おっと、想像するなよ、たぶん2度と肉が食えなくなるぞ。
受け取った紙切れを確認すると、沈没船の地図のかけらだった。
「おい、お前の持ってる地図を出してくれないか?」
ひよこさんにそう言うと、
「……お前?」
やべぇ、コメカミのあたりがピクピクしてる。
「すいません、ひよこさま。地図を見せてもらえないでしょうか?」
ううっ、情けない俺。
しぶしぶながらも地図を出すひよこさん。
地図と地図をあわせた瞬間、地図同士が発光して1枚の地図のかけらになる。
ますます持って現実離れしてるよな。
だが、その瞬間、幽霊船が大きく揺れだし船体のあちこちがくずれ始めた。
「やべぇ、急いでアドベンチャーに戻るぞ!」
って、部屋に残ってるのは俺とひよこさんだけ?お前ら薄情すぎないか?
俺は思わずひよこさんの手を握り締めて、大急ぎでブルーアドベンチャーへと戻っていく。
俺たちが船に戻ると同時に幽霊船が崩壊していき、霧が晴れていった。
まだ俺とひよこさんは荒い息をしている。が、ひよこさんが俺に近づいてきた。
お、助けたお礼でも言ってくれるのか?かわいいとこもあるじゃん。
って、思うあたりが俺の甘いとこだな。
俺の側まできたひよこさんが、まずビンタを俺にかまして、
「気安く手を握るんじゃないわよ!!」
俺はこのビンタの後3日間寝込んだらしいので、この後の記憶はない。
ただ、ひとつわかったのは……ひよこさんにメチャメチャ嫌われてる事だな。
こうしてブルーアドベンチャーはカリブへの航海を続けている。
はぁ、先は長いよな、うん。
つづく
第4話 無理が通れば道理が引っ込む
幽霊船……まさか生きて出会う事があるとはな。
だが、こんなところで沈む気も幽霊船の仲間入りするつもりもない。
なんとしても、ここは……逃げきってやる!!
「コーキ、わかってるっすよね?白兵は……。」
うお、めずらしくヤクモが真顔で話しかけてきた。
わかってるよ、俺は左腕を軽く押さえながらヤクモに向かって言う。
「ヤクモ、心配するな。それに、いつまでも気にしてんじゃねぇよ。」
その言葉を聞いて少し安心した顔になりやがった。心配性め。
それよりジェニーローズの様子が気になる。
こいつ、やる気満々の嬉しそうな顔してやがる。
ジェニーさん、俺たち逃げるんだぜ?
「砲撃はあてる必要はないぞ!足止めすることに集中しろ!」
俺は船員どもに激を飛ばす。
幽霊船は帆は確かにボロボロなんだが、どうやら重ガレオンが正体らしいから
まともに砲撃戦なぞしたら大型キャラックなんてイチコロだ。
かと言って白兵なら勝てるのかと言えば、わかるだろう?
幽霊相手にチャンバラなんて想像したくねぇ。
なら、打つ手は一つ、逃げるのみ!
敵は帆がないに等しいから船のスピードは、こっちが上だ。
そう、幽霊船とブルーアドベンチャーとの距離はかなりある。
まだ、どちらの砲撃も絶対届かないはずだ。
どんどん引き離せよ、おまえら〜〜〜!
……ところがである。
うそだろ?信じられるか?
幽霊船が猛スピードで接近してるのだ。
幸いというべきか、幽霊船はブルーアドベンチャーの真後ろにいる。
帆船は側面にほとんど大砲を設置してるから砲撃らしい砲撃は……。
撃ってきやがった!船首砲か?
舵をきり、なんとか避けるものの幽霊船はブルーアドベンチャーに接舷を
図ってきやがった。
すまん、ヤクモ。白兵戦は避けられそうにねぇな、こりゃ。
「コーキ、俺がやるっす。だから、コーキは奥へ!」
ばかやろう!お前だけに危険な事させれるか!
俺とヤクモは海賊殺しを抜いて白兵戦に備える。
ジェニーローズが槍を構え突撃の準備をする。
もちろん、全船員が白兵の準備ができていた。
いよいよ幽霊船のやつらが乗り込んでくる。
ゾンビがでてくるのか?まさか手を前に突き出して向かってこないよな?
幽霊船からやってきたのは、ガイコツの兵、つまりスケルトン兵だ。
うわぁ、すでに現実にはありえねぇ光景だな。
そう思ってるとジェニーさんが突撃を開始する。
そして、2〜3体が解体される。一度死んでるから殺されるってイメージじゃ
ないんだよな。まさに解体されてバラバラになっていく。
お、こいつら意外と強くねぇ、そう思ったのはまちがいだった。
頭の骨が転がっているのを胴体が拾ってくっつけやがった!
さすが、アンデット。俺は妙に感心しちまったよ。
ジェニーさんやヤクモ、船員達が斬って、斬って、斬りまくる!
そのたびにバラバラになっちゃあ、元に戻るスケルトン。
もちろん、俺も斬ってるよ、とりあえずはな。
しかし、奴らの弱点がわかんないから、次第に疲労が溜まっていく。
やばいな……、もうすぐ、俺のタイムリミットかも。
なんて、考えていたら左腕が急に感覚を失う。
タイムリミットだった。俺の左腕は一定時間急激な動きをすると感覚を
失い、麻痺状態になってしまうのだ。
「コーキ!!!」
俺の様子を見たヤクモが悲痛な声をあげる。見なくてもいいのに。
まあ、右腕だけでも闘えるさ。ちと、しんどいがな。
ヤクモが、まわりにまとわりつくスケルトン数体をなぎ払い俺の側に来る。
「……すまねぇっす、コーキ。俺が、俺が……。」
「気にすんな!つか、忘れろ!ヤクモのおかげで腕1本で済んだんだ!」
そうだ、ヤクモでなければ俺は命を失っていただろう。
今はそれどころじゃないから、この時の話はまた改めて。
しかし、こいつら本当にきりがないな。まあアンデッドだから、しかたないんだが。
そんな過酷なところに、また頭の痛い事が起こったよ。
奥に隠れてりゃいいのに、シャルロットとひよこさんが剣を持って現れた。
「船長!加勢いたします!」
「もう、うっとしいから早くかたずけなさいよ!」
けなげなことを言うシャルロットと勝手なことを言うひよこさん。
うーん、いい対比だ。って、そんな場合じゃねぇよ!
「コーキ!こいつらの頭を砕いて!」
ジェニーさんから指示が入る。見るとジェニーさんはスケルトンの頭を槍で
叩き潰し、粉々に砕いていた。
なるほど、一応骨だけでも頭が弱点か!
これを聞いた船員たちも斬るから叩くに攻撃を変える。
次々に潰されるスケルトン。しかし、どんだけいるんだ?
しかも、霧が全然晴れないから不快指数もMAXだよ。
そして、スケルトンの1体がひよこさんを後ろから襲いに行く。
やべぇ、間に合わない!ひよこさん、避けてくれぇぇ!
ひよこさんは振り向き事態は把握したが防御が間に合わない。
殺られる!ひよこさんも俺もみんなもそう思った瞬間、スケルトンの剣が
……止まった。
そして、ひよこさんの胸のあたりから淡い光がもれていた。
つづく
だが、こんなところで沈む気も幽霊船の仲間入りするつもりもない。
なんとしても、ここは……逃げきってやる!!
「コーキ、わかってるっすよね?白兵は……。」
うお、めずらしくヤクモが真顔で話しかけてきた。
わかってるよ、俺は左腕を軽く押さえながらヤクモに向かって言う。
「ヤクモ、心配するな。それに、いつまでも気にしてんじゃねぇよ。」
その言葉を聞いて少し安心した顔になりやがった。心配性め。
それよりジェニーローズの様子が気になる。
こいつ、やる気満々の嬉しそうな顔してやがる。
ジェニーさん、俺たち逃げるんだぜ?
「砲撃はあてる必要はないぞ!足止めすることに集中しろ!」
俺は船員どもに激を飛ばす。
幽霊船は帆は確かにボロボロなんだが、どうやら重ガレオンが正体らしいから
まともに砲撃戦なぞしたら大型キャラックなんてイチコロだ。
かと言って白兵なら勝てるのかと言えば、わかるだろう?
幽霊相手にチャンバラなんて想像したくねぇ。
なら、打つ手は一つ、逃げるのみ!
敵は帆がないに等しいから船のスピードは、こっちが上だ。
そう、幽霊船とブルーアドベンチャーとの距離はかなりある。
まだ、どちらの砲撃も絶対届かないはずだ。
どんどん引き離せよ、おまえら〜〜〜!
……ところがである。
うそだろ?信じられるか?
幽霊船が猛スピードで接近してるのだ。
幸いというべきか、幽霊船はブルーアドベンチャーの真後ろにいる。
帆船は側面にほとんど大砲を設置してるから砲撃らしい砲撃は……。
撃ってきやがった!船首砲か?
舵をきり、なんとか避けるものの幽霊船はブルーアドベンチャーに接舷を
図ってきやがった。
すまん、ヤクモ。白兵戦は避けられそうにねぇな、こりゃ。
「コーキ、俺がやるっす。だから、コーキは奥へ!」
ばかやろう!お前だけに危険な事させれるか!
俺とヤクモは海賊殺しを抜いて白兵戦に備える。
ジェニーローズが槍を構え突撃の準備をする。
もちろん、全船員が白兵の準備ができていた。
いよいよ幽霊船のやつらが乗り込んでくる。
ゾンビがでてくるのか?まさか手を前に突き出して向かってこないよな?
幽霊船からやってきたのは、ガイコツの兵、つまりスケルトン兵だ。
うわぁ、すでに現実にはありえねぇ光景だな。
そう思ってるとジェニーさんが突撃を開始する。
そして、2〜3体が解体される。一度死んでるから殺されるってイメージじゃ
ないんだよな。まさに解体されてバラバラになっていく。
お、こいつら意外と強くねぇ、そう思ったのはまちがいだった。
頭の骨が転がっているのを胴体が拾ってくっつけやがった!
さすが、アンデット。俺は妙に感心しちまったよ。
ジェニーさんやヤクモ、船員達が斬って、斬って、斬りまくる!
そのたびにバラバラになっちゃあ、元に戻るスケルトン。
もちろん、俺も斬ってるよ、とりあえずはな。
しかし、奴らの弱点がわかんないから、次第に疲労が溜まっていく。
やばいな……、もうすぐ、俺のタイムリミットかも。
なんて、考えていたら左腕が急に感覚を失う。
タイムリミットだった。俺の左腕は一定時間急激な動きをすると感覚を
失い、麻痺状態になってしまうのだ。
「コーキ!!!」
俺の様子を見たヤクモが悲痛な声をあげる。見なくてもいいのに。
まあ、右腕だけでも闘えるさ。ちと、しんどいがな。
ヤクモが、まわりにまとわりつくスケルトン数体をなぎ払い俺の側に来る。
「……すまねぇっす、コーキ。俺が、俺が……。」
「気にすんな!つか、忘れろ!ヤクモのおかげで腕1本で済んだんだ!」
そうだ、ヤクモでなければ俺は命を失っていただろう。
今はそれどころじゃないから、この時の話はまた改めて。
しかし、こいつら本当にきりがないな。まあアンデッドだから、しかたないんだが。
そんな過酷なところに、また頭の痛い事が起こったよ。
奥に隠れてりゃいいのに、シャルロットとひよこさんが剣を持って現れた。
「船長!加勢いたします!」
「もう、うっとしいから早くかたずけなさいよ!」
けなげなことを言うシャルロットと勝手なことを言うひよこさん。
うーん、いい対比だ。って、そんな場合じゃねぇよ!
「コーキ!こいつらの頭を砕いて!」
ジェニーさんから指示が入る。見るとジェニーさんはスケルトンの頭を槍で
叩き潰し、粉々に砕いていた。
なるほど、一応骨だけでも頭が弱点か!
これを聞いた船員たちも斬るから叩くに攻撃を変える。
次々に潰されるスケルトン。しかし、どんだけいるんだ?
しかも、霧が全然晴れないから不快指数もMAXだよ。
そして、スケルトンの1体がひよこさんを後ろから襲いに行く。
やべぇ、間に合わない!ひよこさん、避けてくれぇぇ!
ひよこさんは振り向き事態は把握したが防御が間に合わない。
殺られる!ひよこさんも俺もみんなもそう思った瞬間、スケルトンの剣が
……止まった。
そして、ひよこさんの胸のあたりから淡い光がもれていた。
つづく
第3話 長い物には巻かれろ
リスボンを出航し、カリブ目指して早10日余り……。
今、俺は非常にピンチに陥っている……。
なんと、俺の船ブルーアドベンチャーが乗っ取られようとしているのだ。
しかも、船員の大半は乗っ取り犯の側についていやがる。
それはヤクモやシャルロットも含めてである。
さらに、まずいのは、この俺自身が懐柔されかかっていることだ。
この船の乗っ取り犯の名前は……ひよこさんである。
では、一体何がおこっているのか順を追って話すとしよう。
リスボンを緊急出航した俺たちはカリブを目指すことにする。
なぜ、カリブなのか?それはイスパニアの同盟港が多く、さらにグランドケイマンというイングランドの領地の港もある。
つまり、ひよこさんやジェニーローズさんを安全にかくまってもらえる場所が多いと思われるのだ。
しかし、ここで困った問題が俺たちに降りかかる。
それは食事だった。実は唯一といってもいいコック兼任の船員が出航の際、腕にケガを負ってしまったのだ。
そのために、ただでも豊富とはいえない食材がさらに食いにくいものと化してしまったのである。
さらに、俺はもちろんヤクモも調理はできない。さらにシャルロットも縫製や掃除は得意だが料理に関しては俺たちが無理やり止めるほどの腕前だ。
かつてシャルロットの料理を食ったために全滅しかかった過去があるくらいだ。
で、ジェニーローズさんに料理の腕を訊いてみるが……。
い、いや、これは訊いた俺がまちがってたのだろうな、たぶん。
何があったのかは訊かないでくれ。
そこで、不本意ながらひよこさんに料理を頼んでみる。
「え〜〜〜っ!!なんで、あたしが、あんたたちのご飯を作るのよ!!」
なんて憤慨していたのだが、さすがにまずいご飯しかでてこない環境に耐えられなくなったらしく、一度魚料理を作ってくれた。そしたら……
「う、うまい……。」
ヤクモが涙を流しながら食ってやがる。
そう、ひよこさんの料理の腕はプロでも通じるくらいのものだった。
しかも、あんなに材料が良くないにも関わらずである。
しかし、ひよこさんは毎回料理を作るのはいやそうな顔をしていた。だが、
「ひよこさま!お願いです、あなたの料理を食べさせてください!」
「ひよこさん、ぜひ、また作ってくれないかしら?」
「俺、感動したっす!こ、こ、こんなうまい飯を食ったのは何年ぶりかわかんないっす!」
なんて、船員どもが口々に言うものだから、
「そ、そう。あんたたち、そんなにおいしかったの?」
なんて口調こそ突っ張ってるものの口元が緩むひよこさん。
「も、もう、しょうがないわね。でも船の権限は船長にあるわけだから、船長が泣いて頼んだら、これからも作ってあげてもいいわよ。」
こ、このやろう!散々嬢ちゃん呼ばわりしてたのをしっかり根に持ってたんだな!
誰が泣いて頼むもんか、なんて、俺が黙秘をしていたら……。
船員どもが無言のプレッシャーを与えてきやがる。
全員、ヤクモやシャルロットも含めて、おいジェニーさんもかい!
くそう、わかった、わかりましたよ!
「ひ、ひよこさん。お願いします、これからも食事をお願いしてもいいでしょうか?」
我ながら気持ち悪いほどの猫なで声でお願いしてみるが、
「あん?ひよこさん?違うでしょ!ひ・よ・こ・さ・ま・でしょ?」
な、なな、なにぃー!く、調子にのりやがって、誰がそんなこと言うか!
なんて、思ってても、やっぱり船員どもが無言のプレッシャーかけやがる。
(船長、さまづけするだけなんだ。あんたのプライドより、うまい飯が優先だ)
全員が、たぶんこんな訴えをしているんだろうな、ちくしょう!
そして、俺のプライドは屈服してしまった。
「ひ、ひよこさま。よ、よろしければ、どうかこれからも食事を作っていただけないでしょうか?」
たぶん、俺の笑顔は見事に引きつっていただろう、しかし、ひよこさんは満足したらしい。
「ふっ、まあ、いいわ。これからも作ってあげるわよ。」
これを聞いた船員どもが歓喜の声をあちこちからあげている。
そして、この日を境にひよこさんは、このブルーアドベンチャーの実質支配者となるのだ。
人間って腹を満たされるとこんなに簡単に支配下におかれるのか?
今じゃ俺よりもひよこさんの言う事を優先しやがる。
だが、困った事に最近の俺は、それでもいいかと思うようになってきた。
船員たちだって、過酷な船旅の楽しみは食事しかないわけだし、ひよこさんが本気で船を乗っ取ったわけじゃない。ま、逆らってまずい飯を食うよりは、はいはいと言う事を適当に聞いて、上手い飯を食うほうがいいよな。
こうして、俺の最後のプライドも地に落ちたのである。
と、まあ楽しい船旅をするも、まだまだカリブは見えない。
そして、急にあたりが暗くなってくる。
おいおい、嵐かよ、海のど真ん中で嵐はきついぞ!
と、思っていたのだが、どうも雰囲気が違う。
なんて言えばいいのかな、そう急に空気が肌に粘りつくような、いやな独特の感触。
前にも味わった事がある悪寒をともないビリビリするような空気にかわり、
それは俺たちの目の前に現れた。
「コーキ、やばいのと遭遇しちまったすね。」
ヤクモが真顔で俺の側に来る。
「コーキさん、やるなら手伝うわよ。」
ジェニーローズさんが臨戦態勢に入った表情になる。
「シャル、ひよこさんと共に安全な部屋に隠れててくれ。」
俺はシャルに声をかける。こんなやつの相手をひよこさんやシャルロットにさせるわけにはいかない。
俺たちの目の前に現れたもの、それは……。
あまり、出会いたくない伝説、幽霊船だった。
つづく
今、俺は非常にピンチに陥っている……。
なんと、俺の船ブルーアドベンチャーが乗っ取られようとしているのだ。
しかも、船員の大半は乗っ取り犯の側についていやがる。
それはヤクモやシャルロットも含めてである。
さらに、まずいのは、この俺自身が懐柔されかかっていることだ。
この船の乗っ取り犯の名前は……ひよこさんである。
では、一体何がおこっているのか順を追って話すとしよう。
リスボンを緊急出航した俺たちはカリブを目指すことにする。
なぜ、カリブなのか?それはイスパニアの同盟港が多く、さらにグランドケイマンというイングランドの領地の港もある。
つまり、ひよこさんやジェニーローズさんを安全にかくまってもらえる場所が多いと思われるのだ。
しかし、ここで困った問題が俺たちに降りかかる。
それは食事だった。実は唯一といってもいいコック兼任の船員が出航の際、腕にケガを負ってしまったのだ。
そのために、ただでも豊富とはいえない食材がさらに食いにくいものと化してしまったのである。
さらに、俺はもちろんヤクモも調理はできない。さらにシャルロットも縫製や掃除は得意だが料理に関しては俺たちが無理やり止めるほどの腕前だ。
かつてシャルロットの料理を食ったために全滅しかかった過去があるくらいだ。
で、ジェニーローズさんに料理の腕を訊いてみるが……。
い、いや、これは訊いた俺がまちがってたのだろうな、たぶん。
何があったのかは訊かないでくれ。
そこで、不本意ながらひよこさんに料理を頼んでみる。
「え〜〜〜っ!!なんで、あたしが、あんたたちのご飯を作るのよ!!」
なんて憤慨していたのだが、さすがにまずいご飯しかでてこない環境に耐えられなくなったらしく、一度魚料理を作ってくれた。そしたら……
「う、うまい……。」
ヤクモが涙を流しながら食ってやがる。
そう、ひよこさんの料理の腕はプロでも通じるくらいのものだった。
しかも、あんなに材料が良くないにも関わらずである。
しかし、ひよこさんは毎回料理を作るのはいやそうな顔をしていた。だが、
「ひよこさま!お願いです、あなたの料理を食べさせてください!」
「ひよこさん、ぜひ、また作ってくれないかしら?」
「俺、感動したっす!こ、こ、こんなうまい飯を食ったのは何年ぶりかわかんないっす!」
なんて、船員どもが口々に言うものだから、
「そ、そう。あんたたち、そんなにおいしかったの?」
なんて口調こそ突っ張ってるものの口元が緩むひよこさん。
「も、もう、しょうがないわね。でも船の権限は船長にあるわけだから、船長が泣いて頼んだら、これからも作ってあげてもいいわよ。」
こ、このやろう!散々嬢ちゃん呼ばわりしてたのをしっかり根に持ってたんだな!
誰が泣いて頼むもんか、なんて、俺が黙秘をしていたら……。
船員どもが無言のプレッシャーを与えてきやがる。
全員、ヤクモやシャルロットも含めて、おいジェニーさんもかい!
くそう、わかった、わかりましたよ!
「ひ、ひよこさん。お願いします、これからも食事をお願いしてもいいでしょうか?」
我ながら気持ち悪いほどの猫なで声でお願いしてみるが、
「あん?ひよこさん?違うでしょ!ひ・よ・こ・さ・ま・でしょ?」
な、なな、なにぃー!く、調子にのりやがって、誰がそんなこと言うか!
なんて、思ってても、やっぱり船員どもが無言のプレッシャーかけやがる。
(船長、さまづけするだけなんだ。あんたのプライドより、うまい飯が優先だ)
全員が、たぶんこんな訴えをしているんだろうな、ちくしょう!
そして、俺のプライドは屈服してしまった。
「ひ、ひよこさま。よ、よろしければ、どうかこれからも食事を作っていただけないでしょうか?」
たぶん、俺の笑顔は見事に引きつっていただろう、しかし、ひよこさんは満足したらしい。
「ふっ、まあ、いいわ。これからも作ってあげるわよ。」
これを聞いた船員どもが歓喜の声をあちこちからあげている。
そして、この日を境にひよこさんは、このブルーアドベンチャーの実質支配者となるのだ。
人間って腹を満たされるとこんなに簡単に支配下におかれるのか?
今じゃ俺よりもひよこさんの言う事を優先しやがる。
だが、困った事に最近の俺は、それでもいいかと思うようになってきた。
船員たちだって、過酷な船旅の楽しみは食事しかないわけだし、ひよこさんが本気で船を乗っ取ったわけじゃない。ま、逆らってまずい飯を食うよりは、はいはいと言う事を適当に聞いて、上手い飯を食うほうがいいよな。
こうして、俺の最後のプライドも地に落ちたのである。
と、まあ楽しい船旅をするも、まだまだカリブは見えない。
そして、急にあたりが暗くなってくる。
おいおい、嵐かよ、海のど真ん中で嵐はきついぞ!
と、思っていたのだが、どうも雰囲気が違う。
なんて言えばいいのかな、そう急に空気が肌に粘りつくような、いやな独特の感触。
前にも味わった事がある悪寒をともないビリビリするような空気にかわり、
それは俺たちの目の前に現れた。
「コーキ、やばいのと遭遇しちまったすね。」
ヤクモが真顔で俺の側に来る。
「コーキさん、やるなら手伝うわよ。」
ジェニーローズさんが臨戦態勢に入った表情になる。
「シャル、ひよこさんと共に安全な部屋に隠れててくれ。」
俺はシャルに声をかける。こんなやつの相手をひよこさんやシャルロットにさせるわけにはいかない。
俺たちの目の前に現れたもの、それは……。
あまり、出会いたくない伝説、幽霊船だった。
つづく
第2話 袖すり合うも他生の縁
逃げる俺たち、追いかける役人。って、しつこいぞ、こらぁ!
まあ、しつこいのはしょうがない。ジェニーさんは役人に喧嘩を売り、俺は役人の肩に投げナイフを食らわせちまった。
だが、そもそも何でジェニーさんが役人に喧嘩を売ったのか?
その答えは背のちっこい嬢ちゃんが知っているはずである。
なんて事を考えてるうちに広場を抜け、銀行の前を通り、出航所の役人を殴り飛ばして……、
って、おい、ジェニーさん、そりゃまずいだろ!!!
まあ、そんなこんなで港に入り、俺たちはブルーアドベンチャーに到着する。
もちろん、役人の足止めに投げナイフの牽制はしてあるから、乗り込む時間くらいはある。
俺はありったけの声で叫ぶ!
「野郎ども〜!!緊急出航だ〜〜!!」
その声を聞いてシャルロットがあわてて指示を送り、ヤクモもすぐさま碇を上げ帆を張る。
十分な準備をしていたとは言えない出航にはなったが、船は無事に港を離れた。
ただし、当分リスボンどころか、ポルトガルの領地や同盟港には寄港できないがな、とほほ。
見る見るうちに陸から離れていく。そしてジェニーさんが一言。
「あぁ〜〜〜、あたしの船が〜〜〜〜!!」
……頭いてぇ、自分の船をリスボンに置き去りにしたらしい。って、今そんな状況か?
とにかく、もうリスボンには戻れず俺たちはある意味運命共同体になっちまったわけだ。
さて、無事(?)に出航も出来た事だし、状況を聞きだすとするか、そこの嬢ちゃんに。
嬢ちゃんもさすがに荒い息をしている。
だが、仏心でただ乗りさせる気はさらさらないので、船のことはヤクモとシャルロットにまかせて、俺は尋問を開始した。
「さて、嬢ちゃん、なにがどうなってるのか教えてもらおうか!まずは名前は?」
「…………んじゃない。」
ん、なんか下向いてボソボソ言ってるけど、はっきり聞こえない。
「…………んじゃないって言ってるでしょ。」
今度は肩が震えてる。泣いてるのか?でも、情けは禁物だ。
「俺は、嬢ちゃんの名前を聞いてるんだ!」
「だから、あたしは嬢ちゃんじゃないって言ってるでしょ!!」
あちゃあ、とうとうキレちゃったよ。いつの時代も、どこの国でも女がキレルのは、まずいよな。
「名前、名前ってうるさいわねぇ!あ、た、し、は、ひ、よ、こ!ひよこさんと呼んで!!」
興奮しているせいか、声を荒げて言葉を続ける。
「あたしは、これでもイングランドの商人なの。それにもう立派なレディなの!子供扱いするんじゃないわよ!!」
やれやれ、レディってとこには未だに疑問なんだだが、名前がひよこさんてのはわかった。
さて、次はなんで役人に襲われたのか?そして、なぜジェニーローズさんが役人とやりあってたのかだ。
なにせ、冒険者にとって寄港できないのは、ものすごく痛いのだ。しょうもない理由では納得できんぞ!
「役人が襲った理由?そんなのあたしが聞きたいわよ!いきなり、あれを出せって脅されて剣を突きつけられて、そりゃびっくりして悲鳴もあげるわよ!」
えっ?てことは、あの美声の悲鳴がこの嬢ちゃ……もとい、ひよこさんの悲鳴だったのか?
うーん、俺のカンもたいした事ないなぁ、落ち込みそう……。
「で、そしたら、そこの女性剣士が助けてくれて……。」
「だって、ねぇ。あんな大勢で女の子を襲うなんてひどいと思わない?」
って、女二人に問い詰められても……って、尋問してるのは俺の方だ〜〜!
「とにかく、その役人が言ってるあれってのに心当たりはないの?」
「うーん、そうねぇ、もしかしたら、あれかな?」
「なんかあるのかい?」
「今日見知らぬ同国の人から紙切れを預かったの。これがそうよ。」
そう言ってひよこさんが1枚の紙切れをだす。
それは見る人が見りゃすぐわかる沈没船の地図のかけらだった。
もちろん、俺も何枚か見たことがあるからすぐわかったのだが、ただその地図にはきになるところがあった。
それは地図があまりにも古く見えることだ。多少の変質は当たり前だが、その地図は今まで見た中でも群を抜いて古く見える。て、ことは、もしかしたらとんでもないお宝を積んだ船の地図かもしれないのだ。
よっしゃ、そういうことならポルトガルの出入り禁止ぐらい屁でもねぇ。
俺はヤクモとシャルロット、そして船員達となりゆきで乗せた二人に向かって言った。
「こうなったらしかたねぇ。俺たちゃ一蓮托生の身になった!いいか覚悟を決めろよ!」
そして、沈没船の地図を集める事を決めた俺が、いやこの船がまず向かうのは、
「野郎ども!まずはカリブへこのまま向かうぞ!いいな!」
つづく
まあ、しつこいのはしょうがない。ジェニーさんは役人に喧嘩を売り、俺は役人の肩に投げナイフを食らわせちまった。
だが、そもそも何でジェニーさんが役人に喧嘩を売ったのか?
その答えは背のちっこい嬢ちゃんが知っているはずである。
なんて事を考えてるうちに広場を抜け、銀行の前を通り、出航所の役人を殴り飛ばして……、
って、おい、ジェニーさん、そりゃまずいだろ!!!
まあ、そんなこんなで港に入り、俺たちはブルーアドベンチャーに到着する。
もちろん、役人の足止めに投げナイフの牽制はしてあるから、乗り込む時間くらいはある。
俺はありったけの声で叫ぶ!
「野郎ども〜!!緊急出航だ〜〜!!」
その声を聞いてシャルロットがあわてて指示を送り、ヤクモもすぐさま碇を上げ帆を張る。
十分な準備をしていたとは言えない出航にはなったが、船は無事に港を離れた。
ただし、当分リスボンどころか、ポルトガルの領地や同盟港には寄港できないがな、とほほ。
見る見るうちに陸から離れていく。そしてジェニーさんが一言。
「あぁ〜〜〜、あたしの船が〜〜〜〜!!」
……頭いてぇ、自分の船をリスボンに置き去りにしたらしい。って、今そんな状況か?
とにかく、もうリスボンには戻れず俺たちはある意味運命共同体になっちまったわけだ。
さて、無事(?)に出航も出来た事だし、状況を聞きだすとするか、そこの嬢ちゃんに。
嬢ちゃんもさすがに荒い息をしている。
だが、仏心でただ乗りさせる気はさらさらないので、船のことはヤクモとシャルロットにまかせて、俺は尋問を開始した。
「さて、嬢ちゃん、なにがどうなってるのか教えてもらおうか!まずは名前は?」
「…………んじゃない。」
ん、なんか下向いてボソボソ言ってるけど、はっきり聞こえない。
「…………んじゃないって言ってるでしょ。」
今度は肩が震えてる。泣いてるのか?でも、情けは禁物だ。
「俺は、嬢ちゃんの名前を聞いてるんだ!」
「だから、あたしは嬢ちゃんじゃないって言ってるでしょ!!」
あちゃあ、とうとうキレちゃったよ。いつの時代も、どこの国でも女がキレルのは、まずいよな。
「名前、名前ってうるさいわねぇ!あ、た、し、は、ひ、よ、こ!ひよこさんと呼んで!!」
興奮しているせいか、声を荒げて言葉を続ける。
「あたしは、これでもイングランドの商人なの。それにもう立派なレディなの!子供扱いするんじゃないわよ!!」
やれやれ、レディってとこには未だに疑問なんだだが、名前がひよこさんてのはわかった。
さて、次はなんで役人に襲われたのか?そして、なぜジェニーローズさんが役人とやりあってたのかだ。
なにせ、冒険者にとって寄港できないのは、ものすごく痛いのだ。しょうもない理由では納得できんぞ!
「役人が襲った理由?そんなのあたしが聞きたいわよ!いきなり、あれを出せって脅されて剣を突きつけられて、そりゃびっくりして悲鳴もあげるわよ!」
えっ?てことは、あの美声の悲鳴がこの嬢ちゃ……もとい、ひよこさんの悲鳴だったのか?
うーん、俺のカンもたいした事ないなぁ、落ち込みそう……。
「で、そしたら、そこの女性剣士が助けてくれて……。」
「だって、ねぇ。あんな大勢で女の子を襲うなんてひどいと思わない?」
って、女二人に問い詰められても……って、尋問してるのは俺の方だ〜〜!
「とにかく、その役人が言ってるあれってのに心当たりはないの?」
「うーん、そうねぇ、もしかしたら、あれかな?」
「なんかあるのかい?」
「今日見知らぬ同国の人から紙切れを預かったの。これがそうよ。」
そう言ってひよこさんが1枚の紙切れをだす。
それは見る人が見りゃすぐわかる沈没船の地図のかけらだった。
もちろん、俺も何枚か見たことがあるからすぐわかったのだが、ただその地図にはきになるところがあった。
それは地図があまりにも古く見えることだ。多少の変質は当たり前だが、その地図は今まで見た中でも群を抜いて古く見える。て、ことは、もしかしたらとんでもないお宝を積んだ船の地図かもしれないのだ。
よっしゃ、そういうことならポルトガルの出入り禁止ぐらい屁でもねぇ。
俺はヤクモとシャルロット、そして船員達となりゆきで乗せた二人に向かって言った。
「こうなったらしかたねぇ。俺たちゃ一蓮托生の身になった!いいか覚悟を決めろよ!」
そして、沈没船の地図を集める事を決めた俺が、いやこの船がまず向かうのは、
「野郎ども!まずはカリブへこのまま向かうぞ!いいな!」
つづく
第1話 義を見てせざるは勇無きなり
一人の男が追いつめられていた。
数人の男達が剣や槍を構え男を捕らえようとしていたのである。
場所はポルトガルのリスボンの裏路地で、すでに袋小路になっていた。
男を囲んでいるのは、あきらかにリスボンの守備兵である。
男はコタルディを着た軍人風であったが、多勢に無勢。
とても男が勝てる見込みはなかった。
そして守備兵の一人が脅すように声をかける。
「きさま、我らから盗んだものを返してもらおうか?」
だが、男は動じることなく返事をする。
「はっ、あんな物をきさまらポルトガルが扱えると思っているのか?
それに、あれはもう俺の手からは離れてるぜ。」
そう言ってふてぶてしく笑う。
「ならば、貴様を殺してその真偽を確かめる事になるぞ!
貴様に対しては生死を問わないとの命令だからな!」
役人たちがそう答えると男は玉砕覚悟の突撃をする。
男はロングソードを水平に構えたまま役人達の中へ突っ込んだのだ。
しかし、結果は火を見るより明らかであった。
あわれ、男は一太刀も浴びせることなく役人に切り捨てられる。
役人達は無表情でたった今自分達が斬った男の死体を調べる。
「むう、本当にもう持ってなかったか……。すると、どこに?」
「隊長、奴はさっき広場のバザールに顔を出し、確か……、
そうです!イングランドの小娘のところで話しこんでました。」
「なに!すると、あれはその小娘のところにあるかもという事か。
ならば、その小娘をすぐ捕らえる!急ぎ広場へいくぞ!」
「はっ!」
役人達は急ぎ足で血塗られた鎧のまま広場へと走り出した。
やれやれ、今日は気持ちがいいほど空が青い。
絶好の出航日和と言ったところだな。
俺は大きく伸びをしながら、相方で副長のヤクモを待っていた。
おっと、自己紹介を忘れていたな、俺の名はコーキ。
一応、冒険者の端くれだ。ちなみに国籍はイスパニアで、所属商会はジェノヴァにある特車2課第2小隊って小さなとこだ。
ちなみに、俺が今いる場所はポルトガルのリスボンで、ここで今日俺の新しい船、探検用大型キャラックのブルーアドベンチャー号の処女航海を始めるのだ。
てなわけで、リスボンの出航所に今いるのである。
「船長、ヤクモさんが見えましたよ。」
今、俺に声をかけたのは、俺のもう一人の副長シャルロットである。
なかなかかわいい奴なんだが、ちょっと困ったところもあるおちゃめな奴だ。
「おせえぞ!ヤクモ!」
「コーキ、ごめんっす。おわびに時間があるなら酒場でおごるっすよ。」
こいつが、俺の相棒のヤクモ。もともとは一端の船長だったのだが、ある事件をきっかけに俺の副長に付いてくれた。しかし、俺はいつの日かまたヤクモには船長に戻って欲しいと願っている。
さて、出航にはもう少し準備がかかるが、今なら俺がいなくてもシャルロットが仕切ってくれるだろう。と、言うか面倒くさい手続きはすべて彼女に頼り切っている。ん、なんか文句ある?
と、言うわけでヤクモの誘いに乗って酒場に行くか!
なんて、思っていたら……
「きゃぁぁぁぁぁぁああ!!」
どこかで、かわいい声の悲鳴が聞こえてきた。
どうやら広場の方だ。俺のカンでは、この美声の主は声同様の美女に違いない。美女の危機に行かないのは礼儀に反する。
「ヤクモ!」
俺は相棒にそう叫ぶと、ヤクモと共に広場へと走り出していた。
広場にはすでに大勢のヤジウマに囲まれていたが、俺はどちらかというと小柄なおかげで無理やり前に進み、時には人の股をくぐりぬけその現場を見ることができた。ちなみに、ヤクモは長身のためまだ人垣を抜けれない。で、そこで俺が見たのは……。
数人の役人を相手に槍をふりまわすパイレーツコートを着た、おそらく美女とその美女の後ろに隠れて守られている、たぶんお嬢ちゃんの姿だった。
しかし、相手は役人。本来なら美女の味方をしたいがお尋ね者になるのはゴメンだからシカトを決めたかった。そう、美女の正体を見るまでは。
パイレーツコートの美女、それはジェニーローズという凄腕の元海賊だ。しかも、昔に彼女と共に戦ったこともある仲だ。
ジェニーローズが叫んでる。
「大の大人がよってたかって、こんなちびちゃんを襲うんじゃないよ!」
「ちびって言うな〜〜〜〜〜!!」
守られてるお嬢ちゃんが突っ込みをいれるが、役人達は聞いちゃいないようで、
「そこのチビ!さっき、男から預かった物があるだろう、それを渡せ!」
だが、そのセリフを言い終わる頃、その役人の肩口に投げナイフが刺さっていた。
しまった、つい投げちゃったよ。ああ、やべぇ役人どもが睨んでるよ、どうする、俺?
「コーキ、無事っすかぁあ?」
ようやく人垣を抜け出してきたヤクモが叫びながら剣を抜く。
しまった、ヤクモまで巻き込んじゃったよ。しょうがねぇ……。
「ヤクモ、ジェニーさん、それから、そこのお嬢ちゃん!
とりあえず港へ逃げるぞ!!」
あ〜あ、叫ぶ俺に役人達が血走った目で睨んでるよ。
うわぁ、やっぱり追いかけてきやがった。ま、ヤクモもジェニーさんもお嬢さんも素直に走り出してくれてるのが救いだな、うん。
こうして広場から港への命がけの鬼ごっこが始まった。
そして、これが冒険と逃亡の始まりだったんだよな、うん。
つづく
数人の男達が剣や槍を構え男を捕らえようとしていたのである。
場所はポルトガルのリスボンの裏路地で、すでに袋小路になっていた。
男を囲んでいるのは、あきらかにリスボンの守備兵である。
男はコタルディを着た軍人風であったが、多勢に無勢。
とても男が勝てる見込みはなかった。
そして守備兵の一人が脅すように声をかける。
「きさま、我らから盗んだものを返してもらおうか?」
だが、男は動じることなく返事をする。
「はっ、あんな物をきさまらポルトガルが扱えると思っているのか?
それに、あれはもう俺の手からは離れてるぜ。」
そう言ってふてぶてしく笑う。
「ならば、貴様を殺してその真偽を確かめる事になるぞ!
貴様に対しては生死を問わないとの命令だからな!」
役人たちがそう答えると男は玉砕覚悟の突撃をする。
男はロングソードを水平に構えたまま役人達の中へ突っ込んだのだ。
しかし、結果は火を見るより明らかであった。
あわれ、男は一太刀も浴びせることなく役人に切り捨てられる。
役人達は無表情でたった今自分達が斬った男の死体を調べる。
「むう、本当にもう持ってなかったか……。すると、どこに?」
「隊長、奴はさっき広場のバザールに顔を出し、確か……、
そうです!イングランドの小娘のところで話しこんでました。」
「なに!すると、あれはその小娘のところにあるかもという事か。
ならば、その小娘をすぐ捕らえる!急ぎ広場へいくぞ!」
「はっ!」
役人達は急ぎ足で血塗られた鎧のまま広場へと走り出した。
やれやれ、今日は気持ちがいいほど空が青い。
絶好の出航日和と言ったところだな。
俺は大きく伸びをしながら、相方で副長のヤクモを待っていた。
おっと、自己紹介を忘れていたな、俺の名はコーキ。
一応、冒険者の端くれだ。ちなみに国籍はイスパニアで、所属商会はジェノヴァにある特車2課第2小隊って小さなとこだ。
ちなみに、俺が今いる場所はポルトガルのリスボンで、ここで今日俺の新しい船、探検用大型キャラックのブルーアドベンチャー号の処女航海を始めるのだ。
てなわけで、リスボンの出航所に今いるのである。
「船長、ヤクモさんが見えましたよ。」
今、俺に声をかけたのは、俺のもう一人の副長シャルロットである。
なかなかかわいい奴なんだが、ちょっと困ったところもあるおちゃめな奴だ。
「おせえぞ!ヤクモ!」
「コーキ、ごめんっす。おわびに時間があるなら酒場でおごるっすよ。」
こいつが、俺の相棒のヤクモ。もともとは一端の船長だったのだが、ある事件をきっかけに俺の副長に付いてくれた。しかし、俺はいつの日かまたヤクモには船長に戻って欲しいと願っている。
さて、出航にはもう少し準備がかかるが、今なら俺がいなくてもシャルロットが仕切ってくれるだろう。と、言うか面倒くさい手続きはすべて彼女に頼り切っている。ん、なんか文句ある?
と、言うわけでヤクモの誘いに乗って酒場に行くか!
なんて、思っていたら……
「きゃぁぁぁぁぁぁああ!!」
どこかで、かわいい声の悲鳴が聞こえてきた。
どうやら広場の方だ。俺のカンでは、この美声の主は声同様の美女に違いない。美女の危機に行かないのは礼儀に反する。
「ヤクモ!」
俺は相棒にそう叫ぶと、ヤクモと共に広場へと走り出していた。
広場にはすでに大勢のヤジウマに囲まれていたが、俺はどちらかというと小柄なおかげで無理やり前に進み、時には人の股をくぐりぬけその現場を見ることができた。ちなみに、ヤクモは長身のためまだ人垣を抜けれない。で、そこで俺が見たのは……。
数人の役人を相手に槍をふりまわすパイレーツコートを着た、おそらく美女とその美女の後ろに隠れて守られている、たぶんお嬢ちゃんの姿だった。
しかし、相手は役人。本来なら美女の味方をしたいがお尋ね者になるのはゴメンだからシカトを決めたかった。そう、美女の正体を見るまでは。
パイレーツコートの美女、それはジェニーローズという凄腕の元海賊だ。しかも、昔に彼女と共に戦ったこともある仲だ。
ジェニーローズが叫んでる。
「大の大人がよってたかって、こんなちびちゃんを襲うんじゃないよ!」
「ちびって言うな〜〜〜〜〜!!」
守られてるお嬢ちゃんが突っ込みをいれるが、役人達は聞いちゃいないようで、
「そこのチビ!さっき、男から預かった物があるだろう、それを渡せ!」
だが、そのセリフを言い終わる頃、その役人の肩口に投げナイフが刺さっていた。
しまった、つい投げちゃったよ。ああ、やべぇ役人どもが睨んでるよ、どうする、俺?
「コーキ、無事っすかぁあ?」
ようやく人垣を抜け出してきたヤクモが叫びながら剣を抜く。
しまった、ヤクモまで巻き込んじゃったよ。しょうがねぇ……。
「ヤクモ、ジェニーさん、それから、そこのお嬢ちゃん!
とりあえず港へ逃げるぞ!!」
あ〜あ、叫ぶ俺に役人達が血走った目で睨んでるよ。
うわぁ、やっぱり追いかけてきやがった。ま、ヤクモもジェニーさんもお嬢さんも素直に走り出してくれてるのが救いだな、うん。
こうして広場から港への命がけの鬼ごっこが始まった。
そして、これが冒険と逃亡の始まりだったんだよな、うん。
つづく
テーマ : 大航海時代Online - ジャンル : オンラインゲーム
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