小説 大航海時代オンライン サルベージャー
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第19話 断頭のアルベルト
セシリーさんが無言で俺に近づいてきて
「コーキさん、これを…。」
そう言ってセシリーさんが俺に一振りの剣を渡す。
「相手があの方では、これでも心もとないでしょうが…。」
そう言われて、改めて受け取った剣を確認する。
「これは…!」
渡されたのは名刀と言ってもいいだろう…デュランダルである。
もちろんレプリカではあるだろうが、それでもかなり強力な武器だ。
「…ありがとう…。必ず返します!」
そう言った俺の顔を真剣な眼差しが射抜く。
「…必ず、生きて帰ってきてください…。」
俺はセシリーさんに無理やり笑顔を見せてアルベルトに向かう。
「コーキィィィー!!」
背後から、もう一度ひよこさんの声が聞こえる。
俺は振り向かずに軽く手を振り、
「今日のメニュー、ちゃんと考えておけよ!」
そう叫んでいた。
我ながら、バレバレの強がりとは思う。でも、ひよこさんの姿を見たら
一騎打ちに行けなくなるかもしれない。それくらい怖かった。
アルベルトと俺は対峙する。
「…別れのあいさつは終わったか?」
奴はそう言いながら、片手でラブリュスを振り上げる。
奴の身体は決して筋肉ムキムキではない。むしろ均整がとれたスマート
体型と言っても過言ではないだろう。それが片手でラブリュス…。
奴の筋力は化け物並だな。もっともフェニックスや閣下という化け物も見てきたが。
「さて、見せてもらうぞ!貴様がどれほどの兵か!」
開始の合図はない。このセリフとともに突っ込んできやがった。
奴の動きは速い…が、見えないほどではない。奴が水平にラブリュスを振り回すのが
はっきり見えたからデュランダルで受け止める…はずだった。
しかし、現実は受け止めたデュランダルごと俺は身体を吹っ飛ばされた。
よくデュランダルを離さなかったと我ながら関心する。
俺は断頭と言われた意味をはっきりと悟った。
意外にも人間の骨を完全に切断するのはパワーとテクニックを要する。
つまり普通の兵なら首を斬ることはできても、完全に胴体から切断するのは難しい。
しかし、奴のパワーならそれが可能なのだ。
俺は床に這いながら、体中に冷たい汗が流れ鳥肌がたつのを感じている。
…怖い……怖い……怖い…
俺は恐怖を感じていた。
生きて帰るなど不可能なのだと…。
身体が振るえ、自分の意志はすべて死への恐怖に支配されている。
それも、たったの一撃で…だ。
しかし、本能がなせる業なのか、俺はゆっくりと立ち上がる。
そして1歩、また1歩アルベルトに近づいていく。
「ほう!我が一撃で首が離れぬとは、さすがだな。」
奴の言葉が遥か彼方からか、または地獄の底から聞こえてくるように感じる。
俺はなぜ奴に向かって歩いているのだろうか?
もしかしたら、早く楽になりたいのだろうか?
勝ち目がないなら、さっさと首を斬られて終わりにしたいのだろうか?
もう、なんでもいい…早く終わりにしよう…。
俺がいなくてもヤクモがいる。セシリーさんも、ジェニーローズも…。
そうだ、俺はいなくてもいい存在なんだ。…ダカラ、ハヤクラクニナリタイ…
この時の俺はまちがいなく死神に取り付かれていた。
自分で生き残る方法を考える事も、闘うための意志も何もかもなくしていた。
だが…
「コォォーキィィィイーー!!負けたら、負けたら本当にご飯作らないからぁぁあ!!」
…誰?この泣き叫ぶような声は…。
俺はゆっくり後ろを振り向く。
そして俺の目に映ったのは…
…泣いているひよこさんだった。
…泣いている?あのひよこさんが?なぜ?誰のために泣いているの?
誰が泣かした?俺か?俺がひよこさんを泣かした?
俺はなにをしているのだろうか?
俺は、俺は…そうだ、俺は目の前の敵と一騎打ちをしてるんだった。
ここまで考えた時にようやく頭の中の霧が晴れた気がした。
どうやら俺の意識は混濁していたようだ。
あぶねぇ!これじゃ勝てる戦いでも殺されるとこだった。
俺が奴に恐怖を感じてる事は否定しない。しかし、生き残ることを考えるのを
やめちゃダメなのだ。
俺は奴に向かって走り出した。
急に息を吹き返したかのような俺の行動に今度は奴が面食らったようだ。
俺は勢いに乗ってそのまま突きを繰り出す。
俺のデュランダルは奴の左胸をかすっていった。
無理やり避けてよろけるアルベルトに向き直り、一言。
「悪いな。ここからは俺が恐怖を教える番だ!」
だが、奴は俺を睨みつけ、
「笑止!」
そう言って再びラブリュスを構えなおす。
俺たちの間には誰にも入れない重く苦しい緊張が支配していた。
つづく
「コーキさん、これを…。」
そう言ってセシリーさんが俺に一振りの剣を渡す。
「相手があの方では、これでも心もとないでしょうが…。」
そう言われて、改めて受け取った剣を確認する。
「これは…!」
渡されたのは名刀と言ってもいいだろう…デュランダルである。
もちろんレプリカではあるだろうが、それでもかなり強力な武器だ。
「…ありがとう…。必ず返します!」
そう言った俺の顔を真剣な眼差しが射抜く。
「…必ず、生きて帰ってきてください…。」
俺はセシリーさんに無理やり笑顔を見せてアルベルトに向かう。
「コーキィィィー!!」
背後から、もう一度ひよこさんの声が聞こえる。
俺は振り向かずに軽く手を振り、
「今日のメニュー、ちゃんと考えておけよ!」
そう叫んでいた。
我ながら、バレバレの強がりとは思う。でも、ひよこさんの姿を見たら
一騎打ちに行けなくなるかもしれない。それくらい怖かった。
アルベルトと俺は対峙する。
「…別れのあいさつは終わったか?」
奴はそう言いながら、片手でラブリュスを振り上げる。
奴の身体は決して筋肉ムキムキではない。むしろ均整がとれたスマート
体型と言っても過言ではないだろう。それが片手でラブリュス…。
奴の筋力は化け物並だな。もっともフェニックスや閣下という化け物も見てきたが。
「さて、見せてもらうぞ!貴様がどれほどの兵か!」
開始の合図はない。このセリフとともに突っ込んできやがった。
奴の動きは速い…が、見えないほどではない。奴が水平にラブリュスを振り回すのが
はっきり見えたからデュランダルで受け止める…はずだった。
しかし、現実は受け止めたデュランダルごと俺は身体を吹っ飛ばされた。
よくデュランダルを離さなかったと我ながら関心する。
俺は断頭と言われた意味をはっきりと悟った。
意外にも人間の骨を完全に切断するのはパワーとテクニックを要する。
つまり普通の兵なら首を斬ることはできても、完全に胴体から切断するのは難しい。
しかし、奴のパワーならそれが可能なのだ。
俺は床に這いながら、体中に冷たい汗が流れ鳥肌がたつのを感じている。
…怖い……怖い……怖い…
俺は恐怖を感じていた。
生きて帰るなど不可能なのだと…。
身体が振るえ、自分の意志はすべて死への恐怖に支配されている。
それも、たったの一撃で…だ。
しかし、本能がなせる業なのか、俺はゆっくりと立ち上がる。
そして1歩、また1歩アルベルトに近づいていく。
「ほう!我が一撃で首が離れぬとは、さすがだな。」
奴の言葉が遥か彼方からか、または地獄の底から聞こえてくるように感じる。
俺はなぜ奴に向かって歩いているのだろうか?
もしかしたら、早く楽になりたいのだろうか?
勝ち目がないなら、さっさと首を斬られて終わりにしたいのだろうか?
もう、なんでもいい…早く終わりにしよう…。
俺がいなくてもヤクモがいる。セシリーさんも、ジェニーローズも…。
そうだ、俺はいなくてもいい存在なんだ。…ダカラ、ハヤクラクニナリタイ…
この時の俺はまちがいなく死神に取り付かれていた。
自分で生き残る方法を考える事も、闘うための意志も何もかもなくしていた。
だが…
「コォォーキィィィイーー!!負けたら、負けたら本当にご飯作らないからぁぁあ!!」
…誰?この泣き叫ぶような声は…。
俺はゆっくり後ろを振り向く。
そして俺の目に映ったのは…
…泣いているひよこさんだった。
…泣いている?あのひよこさんが?なぜ?誰のために泣いているの?
誰が泣かした?俺か?俺がひよこさんを泣かした?
俺はなにをしているのだろうか?
俺は、俺は…そうだ、俺は目の前の敵と一騎打ちをしてるんだった。
ここまで考えた時にようやく頭の中の霧が晴れた気がした。
どうやら俺の意識は混濁していたようだ。
あぶねぇ!これじゃ勝てる戦いでも殺されるとこだった。
俺が奴に恐怖を感じてる事は否定しない。しかし、生き残ることを考えるのを
やめちゃダメなのだ。
俺は奴に向かって走り出した。
急に息を吹き返したかのような俺の行動に今度は奴が面食らったようだ。
俺は勢いに乗ってそのまま突きを繰り出す。
俺のデュランダルは奴の左胸をかすっていった。
無理やり避けてよろけるアルベルトに向き直り、一言。
「悪いな。ここからは俺が恐怖を教える番だ!」
だが、奴は俺を睨みつけ、
「笑止!」
そう言って再びラブリュスを構えなおす。
俺たちの間には誰にも入れない重く苦しい緊張が支配していた。
つづく
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