小説 大航海時代オンライン サルベージャー
大航海時代オンライン能登鯖で遊んでるコーキです。 これまでの内容はこちらを参照! http://ameblo.jp/tokusya2ka/ よろしくです<(_ _)>
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第22話 涙雨
「コーキ君。明日の朝、出航だからね。」
Sakurakoさんの声が明るく俺に話しかける。
俺は、その声に無言でうなずきながらボーッと港を見ていた。
昨日、マリアルメルから聴いた地図の真実、そしてセシリーさんの目的。
頭の中でグルグルまわってるよ、ちくしょう!
そうそう、マリアルメルがあの炎の船から脱出できたのは、セシリーさんが、
隠れて俺達を見ていたからだった。だから、火を付けられて、すぐにマリアルメルを救助して二人で海に飛び込んだらしい。
セシリーさんが隠れてた理由はって?
もし、マリアルメルの思惑通りにひよこさんが連れて行かれたら、追いかけるつもりだったらしい。しかし、結果は彼女らの思いもしない事件へと発展していった。
まいったな…。
もし、地図の力でひよこさんが俺達と旅を続ける様に仕向けられたとしたら…。
困った、俺はひよこさんにどう接すればいいんだ?
「こぉぅらぁぁああ!!!コーキ!!!さぼってないで、働け!!!!」
げっ、ひよこさんが俺を見つけて怒鳴ってきやがった!
そのまま、俺はひよこさんに耳をつままれ、引きずられる。痛てえよ!
そのまま、ひよこさんに監視され働く俺。
だが、身体を動かしている方が何も考えなくて楽かも知れないな。
…
そして、夜がやってくる。
なかなか寝付けない俺は、一人港にやってきて海を見ていた。
この広い海のどこかで、いつか、ひよこさんはパンドラの箱を見つけてしまう。
その時、彼女は神話同様に箱を開けるのだろうか?
そんなことを考えている俺の横にセシリーさんがやってきた。
「ひよこさんの事、考えているのですか?」
セシリーさんが慈愛のこもった瞳で優しく俺をみつめる。
「…あんなにうるさいやつでも、今は仲間だからな。」
「…傷つけたくないですね、…ひよこさんのこと。」
「そうだな。だから、俺も決めましたよ。必ずパンドラの箱を破壊するって。」
セシリーさんは、俺のその言葉に微笑みながらうなずいた。
俺達は、結局朝まで二人で海を見ていた。互いの不安をごまかすように…。
そして、セシリーさんが準備のため一時宿屋へ向かったとき、俺はモーレツに後悔していた。
二人きりになるチャンスなんて、ほとんどないのに、なんで口説かなかったんだろう…。
ばかだな、俺。
…
「船長!出航準備できやしたぜ!」
船員の一人が俺に報告をする。
「よーし、ヤクモ!Sakurakoさんの出航を確認してから、出すぞ!俺達の後にはマリアルメルもでてくるから、もたもたするなよ!」
俺はヤクモに指示を出し、ヤクモが各船員にゲキを飛ばしている。
そうなのだ。Sakurakoさんのクリッパーとマリアルメルの大型スクーナー、そして、俺のブルーアドベンチャー号こと、大型探検用キャラックの3隻で艦隊を組んだのだ。
3隻はリオの港を出港し、しばらくクリッパー、キャラック、スクーナーの順で隊列を組み航行していた。が、
突然スクーナーのスピードが落ち、俺達と徐々に距離が離れていく。
何事かと思い、俺は船尾のほうへ駆けだしスクーナーを確認した。
スクーナーは何を思ったか、船体を横に向けて俺達に砲撃を開始した。
一瞬あせった俺達だが、弾はキャラックのかなり手前で失速し海に落ちていく。
これは威嚇射撃か!そう考えた俺は望遠鏡で改めてスクーナーの方を見ると…。
スクーナーの少し後方にポルトガルの海軍艦隊が確認できた。
なるほど、マリアルメルめ、囮になる気だな。
俺はしばし考えて、
「砲撃準備!目標大型スクーナー!ただし、1発も当てるんじゃないぞ!」
と、命令を出す。
「コーキ!あんた、何考えてるのよ!!」
ひよこさんが俺に抗議をするが、俺はマリアルメルの心意気をムダにするわけにはいかなかった。
彼女は俺とセシリーさんに全てを託し、俺達を先にいかすために囮になってくれたのだ。
ならば、俺達にできることは彼女と抗戦してる振りをして、スクーナーが海軍の的にならないようにするだけだ。
「めるるん!めるるーーん!!」
ひよこさんが叫ぶが、スクーナーはもはや遥か後方に見えるだけだった。
わかったよ、マリアルメル。ひよこさんは俺達が助けるから、無事で、無事でいてくれよ。
こうして、俺達がスクーナーと別れてから、しばらくして大粒の雨が振ってきた。
それは、まるでマリアルメルの涙のように、俺には感じられた。
………
ぶっ!突然、俺の顔に何かが貼りつきやがった。
それを取り除いた瞬間に目に入ってきたのは…。
ひよこさんの胸元で発行している地図だった。
「…コーキ…それ、地図の欠片みたいよ…。」
俺の顔に貼り付いていた欠片は、ひよこさんの地図と一体となっていった。
「これ、きっと、めるるんからの贈り物よ!そうよ、きっと!」
こんなこと言って、はしゃぐひよこさん。
断っておくが、その推測は絶対にはずれているからな!
俺は、いや、俺とセシリーさんは、はしゃぐひよこさんを複雑な思いで見ながら、次の港へと船を動かしていた。
つづく
Sakurakoさんの声が明るく俺に話しかける。
俺は、その声に無言でうなずきながらボーッと港を見ていた。
昨日、マリアルメルから聴いた地図の真実、そしてセシリーさんの目的。
頭の中でグルグルまわってるよ、ちくしょう!
そうそう、マリアルメルがあの炎の船から脱出できたのは、セシリーさんが、
隠れて俺達を見ていたからだった。だから、火を付けられて、すぐにマリアルメルを救助して二人で海に飛び込んだらしい。
セシリーさんが隠れてた理由はって?
もし、マリアルメルの思惑通りにひよこさんが連れて行かれたら、追いかけるつもりだったらしい。しかし、結果は彼女らの思いもしない事件へと発展していった。
まいったな…。
もし、地図の力でひよこさんが俺達と旅を続ける様に仕向けられたとしたら…。
困った、俺はひよこさんにどう接すればいいんだ?
「こぉぅらぁぁああ!!!コーキ!!!さぼってないで、働け!!!!」
げっ、ひよこさんが俺を見つけて怒鳴ってきやがった!
そのまま、俺はひよこさんに耳をつままれ、引きずられる。痛てえよ!
そのまま、ひよこさんに監視され働く俺。
だが、身体を動かしている方が何も考えなくて楽かも知れないな。
…
そして、夜がやってくる。
なかなか寝付けない俺は、一人港にやってきて海を見ていた。
この広い海のどこかで、いつか、ひよこさんはパンドラの箱を見つけてしまう。
その時、彼女は神話同様に箱を開けるのだろうか?
そんなことを考えている俺の横にセシリーさんがやってきた。
「ひよこさんの事、考えているのですか?」
セシリーさんが慈愛のこもった瞳で優しく俺をみつめる。
「…あんなにうるさいやつでも、今は仲間だからな。」
「…傷つけたくないですね、…ひよこさんのこと。」
「そうだな。だから、俺も決めましたよ。必ずパンドラの箱を破壊するって。」
セシリーさんは、俺のその言葉に微笑みながらうなずいた。
俺達は、結局朝まで二人で海を見ていた。互いの不安をごまかすように…。
そして、セシリーさんが準備のため一時宿屋へ向かったとき、俺はモーレツに後悔していた。
二人きりになるチャンスなんて、ほとんどないのに、なんで口説かなかったんだろう…。
ばかだな、俺。
…
「船長!出航準備できやしたぜ!」
船員の一人が俺に報告をする。
「よーし、ヤクモ!Sakurakoさんの出航を確認してから、出すぞ!俺達の後にはマリアルメルもでてくるから、もたもたするなよ!」
俺はヤクモに指示を出し、ヤクモが各船員にゲキを飛ばしている。
そうなのだ。Sakurakoさんのクリッパーとマリアルメルの大型スクーナー、そして、俺のブルーアドベンチャー号こと、大型探検用キャラックの3隻で艦隊を組んだのだ。
3隻はリオの港を出港し、しばらくクリッパー、キャラック、スクーナーの順で隊列を組み航行していた。が、
突然スクーナーのスピードが落ち、俺達と徐々に距離が離れていく。
何事かと思い、俺は船尾のほうへ駆けだしスクーナーを確認した。
スクーナーは何を思ったか、船体を横に向けて俺達に砲撃を開始した。
一瞬あせった俺達だが、弾はキャラックのかなり手前で失速し海に落ちていく。
これは威嚇射撃か!そう考えた俺は望遠鏡で改めてスクーナーの方を見ると…。
スクーナーの少し後方にポルトガルの海軍艦隊が確認できた。
なるほど、マリアルメルめ、囮になる気だな。
俺はしばし考えて、
「砲撃準備!目標大型スクーナー!ただし、1発も当てるんじゃないぞ!」
と、命令を出す。
「コーキ!あんた、何考えてるのよ!!」
ひよこさんが俺に抗議をするが、俺はマリアルメルの心意気をムダにするわけにはいかなかった。
彼女は俺とセシリーさんに全てを託し、俺達を先にいかすために囮になってくれたのだ。
ならば、俺達にできることは彼女と抗戦してる振りをして、スクーナーが海軍の的にならないようにするだけだ。
「めるるん!めるるーーん!!」
ひよこさんが叫ぶが、スクーナーはもはや遥か後方に見えるだけだった。
わかったよ、マリアルメル。ひよこさんは俺達が助けるから、無事で、無事でいてくれよ。
こうして、俺達がスクーナーと別れてから、しばらくして大粒の雨が振ってきた。
それは、まるでマリアルメルの涙のように、俺には感じられた。
………
ぶっ!突然、俺の顔に何かが貼りつきやがった。
それを取り除いた瞬間に目に入ってきたのは…。
ひよこさんの胸元で発行している地図だった。
「…コーキ…それ、地図の欠片みたいよ…。」
俺の顔に貼り付いていた欠片は、ひよこさんの地図と一体となっていった。
「これ、きっと、めるるんからの贈り物よ!そうよ、きっと!」
こんなこと言って、はしゃぐひよこさん。
断っておくが、その推測は絶対にはずれているからな!
俺は、いや、俺とセシリーさんは、はしゃぐひよこさんを複雑な思いで見ながら、次の港へと船を動かしていた。
つづく
第21話 パンドラの箱
リオの酒場に到着する俺。
しかし、酒場と言うよりは…その…、青空市場〜〜?
もう少しましな場所を選べよ、マリアルメル〜。
そんな俺の思惑を無視したかのようにマリアルメルが声をかける。
「おそ〜い!こっち、こっち〜!」
すでに何杯かは飲んでるんだろうな、ベロベロだよ。
もっとも、俺は未だにみぞおちの辺りが痛むので、出された酒を眺めるだけだ。
さて、なにから訊こうか?
そう考えた矢先マリアルメルから話始める。
「先に言っとくけど、謝らないわよ!」
おい、あれだけの事して、謝罪なしかい。
「…あんたのせいで…。ひよこさんを救えない…。」
こう言いながら大粒の涙をこぼし始めるマリアルメル。
ちょ〜〜っと、まて。迷惑してて助けて欲しいのは、むしろ俺なんだが。
しかし、マリアルメルはいきなり、俺の胸倉をつかみ、叫ぶ。
「あんた、ひよこさんが何を持ってるのか知ってるの?ひよこさんが、これからどんな目にあうのか…。」
そう言いながら涙を拭こうともせず、俺に詰め寄る。
「あんたがいなければ、あんたがいなければ、ひよこさんを連れ出せるのに…。」
そう言って、後は俺の胸を叩きながら大泣きするだけだ。
俺は何もできず、ただマリアルメルのやりたいようにさせるしかできなかった。
少し落ち着いてきた頃合を見はかってマリアルメルに尋ねる。
「俺は何も知らない。だから、知ってる事を教えてくれ。」
「…地図よ。」
マリアルメルがポツッと話す。
「地図?地図って、あのひよこさんが持ってるあの地図の欠片か?」
「そうよ。あの地図がひよこさんに不幸を呼ぶわ。」
俺には何がなんだがわからない。あれはただの沈没船の地図…じゃないんだろうとは思ってたが。
俺は黙ってマリアルメルの次の言葉を待つ。
「あの地図がすべて揃い、そこに眠ってるものを手に入れたとき…。」
俺は息を呑んだ。
「世界が滅ぶかもしれない…。」
ブハッッ!俺は思わず吹きだした。ばかばかしい。たかが宝のひとつやふたつで世界が滅んでたまるか!
だが、マリアルメルは不機嫌な表情を隠そうともせず、
「笑い事じゃないの!あの地図はパンドラの箱を示した地図なのよ!」
パンドラの箱…確かギリシャ神話だったかな、パンドラって娘が神様から箱を預かるが、けっして開けてはいけないと言われていた。しかし、好奇心に負けたパンドラは箱を開けてしまい、この世に災厄という災厄や、不幸をばらまいてしまった。こんな内容だったな。
「知ってるでしょ?この世の災厄を封じ込めた箱の事を。それが、あんたたちが探している宝の正体なのよ。」
「ばかばかしい。仮にその話が本当なら地図を捨てさせればいいじゃないか。」
「それができないんです…。」
わぁ、びっくりした!いつのまにか、俺たちのテーブルにセシリーさんが姿を現していた。
「…おそらく、ひよこさんはすでに地図に捕りこまれています。地図を手放す事はないでしょう。そして、取り込まれているのは…コーキさん、あなたもなんです。」
「えぇぇぇぇぇぇぇ〜〜っ!」
こいつは驚いた、俺は自分の意志で行動してる。誰かに操られてるつもりはない。
「なぜ、タイミングよく、ひよこさんやあなたに救いの手が現れるのでしょうか?疑問に思いませんでしたか?」
セシリーさんに言われて始めてじっくり考えてみる。たしかに、この旅では2〜3度は軽く死んでいてもおかしくはなかったろう。あれは俺の悪運の強さのせいじゃなかったのか?
「ひよこさんは地図に選ばれ、あなたはその護衛に選ばれた…。そう考えればつじつまが合うんです。」
なんてこった。俺たちの冒険って、見えない何かに仕組まれてたってのかよ。
「仮にひよこさんが地図を捨てても、必ずひよこさんの手に戻るでしょう。理由は…まだわかりませんが、ひよこさんを必要としているのはまちがいありません。」
俺は言葉もなかった。
マリアルメルだけなら信じなかったが、セシリーさんまでとは…。
「…正直、まだ信じられない。が、その話が本当ならば、どうすればいい?」
今度はマリアルメルが口を開く。
「…ひよこさんを…監禁するしか…ないのよ。…一生ね…。」
そうか、俺がひよこさんを連れまわす限り、いつかは箱にたどりつく。
それは、ひよこさんが世界滅亡の犯人になるって事か。
「…だから、あたしは一生ひよこさんといっしょに監禁されてもいいと考えたわ。それで、世界が救われるなら…。」
今度はセシリーさんが口を開く。
「そうね。監禁ができればいいのかもしれない。でも、ひよこさんに本当にそんな事できるの?だから、あたしはもうひとつの方法を選ぶことにしたわ。」
「もうひとつの方法?」
俺があほうのように問い直す。
「そう。それは…パンドラの箱そのものを破壊する事!」
このセシリーさんの言葉には強い決意が込められていた。
ってことは、セシリーさんは最初からそれが目的で、旅に同行してたのか。
「できるの?そんな事!神の造った兵器とも言われているのに…。」
マリアルメルの疑問は俺の疑問だった。
「やらなきゃ、ひよこさんも世界も救えませんわ。」
セシリーさんが静かに言い切る。
「すでに、喫茶ろんどん商会もバックアップの準備をヨーロッパでしてくれてます。もはや、他に方法はないのです!」
あの時フェニックスもE.C.ロンメルも、簡単に俺たちを見逃したのはこのせいか。
始めから奴らは俺たちは眼中になかったって事か。ちぃ、ばかにされた気分だぜ。
だが、確かにセシリーさんの言う通りだな。俺たちに選択肢はないようだ。
俺は自分達の未来に現れたこの不幸に大きな不安を感じていた。
つづく
しかし、酒場と言うよりは…その…、青空市場〜〜?
もう少しましな場所を選べよ、マリアルメル〜。
そんな俺の思惑を無視したかのようにマリアルメルが声をかける。
「おそ〜い!こっち、こっち〜!」
すでに何杯かは飲んでるんだろうな、ベロベロだよ。
もっとも、俺は未だにみぞおちの辺りが痛むので、出された酒を眺めるだけだ。
さて、なにから訊こうか?
そう考えた矢先マリアルメルから話始める。
「先に言っとくけど、謝らないわよ!」
おい、あれだけの事して、謝罪なしかい。
「…あんたのせいで…。ひよこさんを救えない…。」
こう言いながら大粒の涙をこぼし始めるマリアルメル。
ちょ〜〜っと、まて。迷惑してて助けて欲しいのは、むしろ俺なんだが。
しかし、マリアルメルはいきなり、俺の胸倉をつかみ、叫ぶ。
「あんた、ひよこさんが何を持ってるのか知ってるの?ひよこさんが、これからどんな目にあうのか…。」
そう言いながら涙を拭こうともせず、俺に詰め寄る。
「あんたがいなければ、あんたがいなければ、ひよこさんを連れ出せるのに…。」
そう言って、後は俺の胸を叩きながら大泣きするだけだ。
俺は何もできず、ただマリアルメルのやりたいようにさせるしかできなかった。
少し落ち着いてきた頃合を見はかってマリアルメルに尋ねる。
「俺は何も知らない。だから、知ってる事を教えてくれ。」
「…地図よ。」
マリアルメルがポツッと話す。
「地図?地図って、あのひよこさんが持ってるあの地図の欠片か?」
「そうよ。あの地図がひよこさんに不幸を呼ぶわ。」
俺には何がなんだがわからない。あれはただの沈没船の地図…じゃないんだろうとは思ってたが。
俺は黙ってマリアルメルの次の言葉を待つ。
「あの地図がすべて揃い、そこに眠ってるものを手に入れたとき…。」
俺は息を呑んだ。
「世界が滅ぶかもしれない…。」
ブハッッ!俺は思わず吹きだした。ばかばかしい。たかが宝のひとつやふたつで世界が滅んでたまるか!
だが、マリアルメルは不機嫌な表情を隠そうともせず、
「笑い事じゃないの!あの地図はパンドラの箱を示した地図なのよ!」
パンドラの箱…確かギリシャ神話だったかな、パンドラって娘が神様から箱を預かるが、けっして開けてはいけないと言われていた。しかし、好奇心に負けたパンドラは箱を開けてしまい、この世に災厄という災厄や、不幸をばらまいてしまった。こんな内容だったな。
「知ってるでしょ?この世の災厄を封じ込めた箱の事を。それが、あんたたちが探している宝の正体なのよ。」
「ばかばかしい。仮にその話が本当なら地図を捨てさせればいいじゃないか。」
「それができないんです…。」
わぁ、びっくりした!いつのまにか、俺たちのテーブルにセシリーさんが姿を現していた。
「…おそらく、ひよこさんはすでに地図に捕りこまれています。地図を手放す事はないでしょう。そして、取り込まれているのは…コーキさん、あなたもなんです。」
「えぇぇぇぇぇぇぇ〜〜っ!」
こいつは驚いた、俺は自分の意志で行動してる。誰かに操られてるつもりはない。
「なぜ、タイミングよく、ひよこさんやあなたに救いの手が現れるのでしょうか?疑問に思いませんでしたか?」
セシリーさんに言われて始めてじっくり考えてみる。たしかに、この旅では2〜3度は軽く死んでいてもおかしくはなかったろう。あれは俺の悪運の強さのせいじゃなかったのか?
「ひよこさんは地図に選ばれ、あなたはその護衛に選ばれた…。そう考えればつじつまが合うんです。」
なんてこった。俺たちの冒険って、見えない何かに仕組まれてたってのかよ。
「仮にひよこさんが地図を捨てても、必ずひよこさんの手に戻るでしょう。理由は…まだわかりませんが、ひよこさんを必要としているのはまちがいありません。」
俺は言葉もなかった。
マリアルメルだけなら信じなかったが、セシリーさんまでとは…。
「…正直、まだ信じられない。が、その話が本当ならば、どうすればいい?」
今度はマリアルメルが口を開く。
「…ひよこさんを…監禁するしか…ないのよ。…一生ね…。」
そうか、俺がひよこさんを連れまわす限り、いつかは箱にたどりつく。
それは、ひよこさんが世界滅亡の犯人になるって事か。
「…だから、あたしは一生ひよこさんといっしょに監禁されてもいいと考えたわ。それで、世界が救われるなら…。」
今度はセシリーさんが口を開く。
「そうね。監禁ができればいいのかもしれない。でも、ひよこさんに本当にそんな事できるの?だから、あたしはもうひとつの方法を選ぶことにしたわ。」
「もうひとつの方法?」
俺があほうのように問い直す。
「そう。それは…パンドラの箱そのものを破壊する事!」
このセシリーさんの言葉には強い決意が込められていた。
ってことは、セシリーさんは最初からそれが目的で、旅に同行してたのか。
「できるの?そんな事!神の造った兵器とも言われているのに…。」
マリアルメルの疑問は俺の疑問だった。
「やらなきゃ、ひよこさんも世界も救えませんわ。」
セシリーさんが静かに言い切る。
「すでに、喫茶ろんどん商会もバックアップの準備をヨーロッパでしてくれてます。もはや、他に方法はないのです!」
あの時フェニックスもE.C.ロンメルも、簡単に俺たちを見逃したのはこのせいか。
始めから奴らは俺たちは眼中になかったって事か。ちぃ、ばかにされた気分だぜ。
だが、確かにセシリーさんの言う通りだな。俺たちに選択肢はないようだ。
俺は自分達の未来に現れたこの不幸に大きな不安を感じていた。
つづく
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